第152回 『 平成2年のバブル不況 』 6

  • 2004/08/10(火) 15:00:00

・平成9年、再び不況が襲った。回復を示していた当社の売上が再び縮小に転じる。不況の到来を、私はいつになく早い時期に察知していた。日と共に不況は深刻化していた。売上が縮小トレンドにある会社には、事態は深刻かつ待ったなしだった。私の任務は 「縮小トレンドを拡大トレンドにのせる」 事であり、それ以外にはない。

【 森の中の古びた部門 】
・すでにお話ししたことだが、営業部門に私は一度も立ち入っていなかった。それは古色蒼然とした埃の中にあり、ここで何が行われているかよく分からなかった。パンドラの箱の如く、一旦手をつけたら悩ましい問題が次々にとび出してくる。トップの私は、これらの問題を逃げることはできない。だからここに近づくのは勇気がいった。
・拡大トレンドにのせるのはどうやってやるのか。それにはあらゆる方法を駆使して行うしかない。だからこそトップであり、どこの部門にも否応なく入らねばならない。こうして私に突然の任務が発生した。とりあえず私は営業という森の中の古びた部門を探し当て、そこのドアーをノックした。

・営業部門は事務員も含めて 150人、この人たちが売上年間27億の数字を作っている。この数字を1%でも2%でもあげねばならない。このための対策を私は決める…。それには営業の実体をつかまねばならない。しかし肝心のデータがこの程度しかないようだった。当社の社員250人の中の60%が150名である。全体の60%の部分について何も分からないとしたら、当時、会社そのものが私のコントロール下にあるとはいえなかった。

【 データは主観や思い込みを修正した 】
・営業部門の現状について経理部が作る月々のデータはあるが、専門性が強くて使用できない。次に棒グラフを作った 「表」 が他社で使われている。思い出してこの表を作ってみたが、これは数字の変化を部外者に一目瞭然にしたもので、現場の作業者のものではない。
・営業に関する資料は保存されていた。知りたいテーマの実態を数値で知りたくても、資料は一目で分かるようになってない。このままではマネージメントの役に立たない。実態が一目でわかるように、資料をデータに処理せねばならない。こうして私は初めからやり直しをはじめた。一枚のデータを作ると、思いがけない実態を見る事ができた。これにより様々な主観や思いこみを修正できた。データがいかに大切かを我々は認識した。

【 営業のメカニズムが鮮明に 】
・私の最初にやる作業はハッキリした。 「データの収集と分析」だ。 平成9年、10年と2年がかりでデータを40種類作った。1つの数表を作るのに何日も苦しみ、事実を伝えるデータを作った。部門別ユーザー売上の増減が一目で分かった。新規売上の実態も…。それだけむくわれる作業でもあった。霧のかなたにおぼろげにしか見えなかった営業のメカニズムが、誰の目にも鮮明になった。
・資料は目的によってデータに処理される。そのデータは一つの目的に対し一、二枚である。 営業部門に対し、私が知りたい情報が100項あるとしたら、私は100枚のデータを必要とする。
・以上を私はデータ主義と呼んだ。このデータ主義が営業部門の管理を科学的なものに変えた。とにかくデータを作ってみよう。私たちはこう言って必ずデータを作って意思決定した。…不思議だ。これだけやってもこの2年、売上は低下した。

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