第165回 『 指導者への道 』 1

  • 2005/01/11(火) 15:00:00

・人が頭角を表し、本物の指導者として成長していくための条件があるとしたら、それは何だろうか。この為、若者は組織でいかなる体験を重ねる必要があるのか。そこには一つの道筋があるように私は思う。

・人々は20歳前後で社会に出て、横一線に並んで一斉に走り出す。頭脳に恵まれ、体力に恵まれ、一流の教育を受けた人もいればその反対の人もいる。その差は月とスッポンほどの隔たりだが、人生は短距離レースではなく、4、50年の長距離レースである。しかも戦いは気力、集中力、直感力等、あらゆる能力を動員する。従ってこの程度のハンデは殆んどとるにたらない。
・人生という戦場にはこの場を支配する戦場の掟、システム、価値観がある。若者はその社会の中で悪戦苦闘を繰り返す。会社組織、上司に反発し、仕事で挫折を味わい、規律の壁にぶつかり、人間関係に迷う。戦場の掟を素早く自分のものにする者もいる。それを嫌悪し反発し転職していく者もいる。しかし、まだまだ勝負はこれからである。20歳から25歳くらいまでのこの期間を私は 「彷徨の時代」 と名付けよう。

【 彷徨の時代 】
・では彷徨の時代に重要なことは何か。私は三つあると考えている。第一に戦場の掟というものが何かを、できるだけ正しく理解しておくこと。つまり実社会では何が大事で何が大事でないか、何を好み何を嫌うかを、学び知ることである。
・第二につらい仕事を避けるのではなく自ら率先して経験すること。ラクな仕事、やさしい仕事、格好良い仕事は、仕事そのものが内在する厳しさを教えてはくれない。これは将来を望む人にとって貴重な時間の浪費であり、不幸なことである。たとえばセールス、ここでは仕事に叩きつけられる己の弱さをまざまざと見るだろう。そしてこの壁を乗り越えていくなら、それは貴重な経験となろう。
・そして第三は人間関係を充分に理解しておくことだ。人生において我々が相手にするのは人、人、人である。いかに仕事の能力に秀れていても、人間関係が築けなければ途中でつまずき、伸びようとする芽もつまれてしまう。人の上に立ち、指揮を取る者の仕事の半分以上が、人との関わり合いである。つまりこの期間に、上司、先輩、他部門と良い人間関係をつくる事はこの上ないトレーニングとなる。

【 自覚・躍動期 】
・彷徨期に続く第二の期間、25、6歳から30歳までを自覚・躍動期としよう。私はこの5年間が、人生にとって最も重要な時期だと考えている。すなわちこの時期を充実させられる人は大きく伸びる可能性を持ち、この時期を無為に過せば、成長することは難しい。25、6歳を過ぎる頃から後輩も増え、職場での立場も変わる。ぼつぼつ管理職への道も近づき、この頃から仕事に対する態度も真剣味を増す。
・世の多くの人が見誤るのだが、出世というものはやはりその人の実力と裏腹の関係にある。日本は年功序列だから実力がなくて出世する人も多いが、こういう厳しい時代ではリーダーとして長続きしない。人の上に立つには実力こそ最も頼れる武器である。そしてこの実力が本当に身についてくるのは、25歳から30歳までの5年間である。
・では、この期間に必要なことは何か。 1.仕事そのものが厳しい事、あるいは会社や自ら課した目標が達成困難である事。2.与えられている仕事に意欲的である事。3.生活態度が仕事最優先である事。4.一日10時間、もしくはそれ以上仕事に打ち込み得る事。5.結果として、業績を残し得る事。以上の5点が最低限必要となる。(この項続く)

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