第175回 『 指導者への道 』 11

  • 2005/06/07(火) 15:00:00

・業績不振の部門の立直し策でトップと管理者の意見が対立した場合、8:2又は7:3でトップが正しい事が多い…。 しかしこの数値は数年間の統計的な経験則によるもので、新たに発生した問題の優劣は5:5とすべきだろうと述べた。
・しかし結果として7:3になるならトップの意見を優先させれば、成功の確立も8勝2敗や7勝3敗となるはずだ。 …この論理は確かに説得力を持ち、また現実にこの論理がマネージメントの現場で採用されている。

【 実績は2勝8敗 】
・ではこれによってマネージメントの現場では、8勝2敗や7勝3敗の結果を得ているのだろうか。ところが不思議にも現実は逆であり、その実績は3勝7敗、2勝8敗もしくはそれ以上に悪い数字が多いのだ。これが部門の改善が進まない原因であり、多くのトップが苦い経験をされていると思う。
・では、一体このような事はなぜ起こるのか? ここには原因が主として二つ考えられる。一つは両者の対策がいずれも的はずれか有効性を持たないためで、8敗の半分はこれが原因であろう。両者の策のいずれかが、有効ということは難しく、これはやむを得ない事である。
・第二の原因はトップの考えを実行するのは管理者であり、彼には人間としての感情や、やる気といった心の問題がある。すでに述べたが、トップの意見を実行するには、彼は長年のやり方をやめねばならぬ。トップの策を実行すれば部下の反発の矢面に立たねばならず、管理者として辛い事が多いのだ。その上、管理者は自分の意見が正しいと思っている。その意見がなぜ劣るかをトップは説明できない。トップの策がなぜ正しいのかも…。 いや説明はなされても、それ等はいたずらに管理者の心を傷つけるだけで、およそ説得力を持たないのである。

【 実行しているふりをする 】
・こうして現場の管理者はトップの方針に対しやる気を失っている…。 現場を最も知っているだけに、トップの意見を信用しきれない。やむなく管理者は理由をつけてトップの意見を実行に移さないか、実行しているふりをしている。
・一方、トップの策に真面目に取り組んでいる管理者の数も少なくはない。しかし改善改革とはもともと困難なテーマである。特に不振からの脱出は…。従って単に真面目に取り組んでいるだけでは、改善改革はとうてい成功しないだろう。これを成功させるには、管理者とメンバー全員が本気になってテーマに取り組む必要がある。

【 全員を本気にさせる条件 】
・テーマに対し全員が本気になって取り組む、そのようなことは可能だろうか。もし可能としたら、そこにはどのような条件が必要となるか。条件は理論的には一つだけである。それには選ばれた策の正しさを、メンバー全員が心から納得できていれば良い。すると問題は二つの策の優劣の判定ができ、それを関係者全員に納得させる方法があるかである。
・このようなことは理論的にはあり得ても現実にはあり得ないというのが、ビジネスマンの常識である。しかしこの常識は誤りだ。つまり正しい判定法は存在するし、これを全員に納得させる方法はある。もしも無ければマネージメントは成立しない。
・このためにはまず二つの策の優劣を証明することができれば良い。策の正しさを証明する、それができるのは科学だけだ。また人々が信用し、納得するのも科学である。ではどういう科学を使うのか。意見が対立しているテーマに関し、できるだけ多くのデータを集める。たとえばその生産量を、販売量を。その月別の数値を、年別の数値を。次にこのデータを分析していく。 …するといずれの意見が正しいかその優劣が見えてくる。データが良いものでありさえすれば、データを見る者すべてを説得するであろう。

・優れたデータは二つの策の優劣を証明するだけではない。二つとも有効性を持たない策であれば、たちどころに見破ってしまうケースもある。また優れているとして採用された策も、データを取り続ければ数ヶ月でその策の無効性を証明してくれるだろう。こうして2勝8敗の成功率はしだいに8勝2敗へと変化するのだ。

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