第177回 『 考える癖、選択の幅 』

  • 2005/07/05(火) 15:00:00

・最近、私は当社のある部門の社員達に、2つ3つ新しい提案を行った。予想はしていたが、部門のほぼ全員から陰陽さまざまな形の反対に会った。すったもんだの末、幸いその案は実行に移されることになった。
・実際に導入してみると、新しい方式はそれなりに偉力を発揮し、仕事は手応えあるものに改善されていった。我々はメンバー一人一人に聞き取り調査をしたが、中にベテラン社員の一人から 「 実際にやってみて、提案がこんなにうまく行くとは思っていなかった。いつの間にか私は頭が固くなっていたようだ…。 」 という述懐があった。

【 頭が固い 】
・ビジネスマンにとって、頭が固いということは何を意味するか…。頭が固いと人にいわれるのは誰にも愉快ではないが、ビジネスマンには少し深刻である。彼等の業務は判断を下すことである。良い判断は頭の柔軟さによって生まれ、それを阻むのは頭の固さにある。つまり頭が柔軟であれば正しい道を発見し、固ければ判断を誤ることが多い。判断を誤ることが多くては指示を出すより受ける側の人である。彼らは専門職としてはやっていけても、部下を持つ仕事などビジネスマンとしての活躍の場は大幅に制約される。

・そもそも、頭が固いというのはどういうことか。それは頭の悪さや理解力に劣ることを意味しない。頭の良い人にも頭の固い人はたくさんいる。つまり見分けがつき難い。特に本人には…。ただし頭が良くて頭の固い人は、周囲にとって扱い難い存在であることは間違いない。

【 変化を嫌う保守主義者 】
・頭が固いとされる人は彼のビジネスについて他人にアドバイスを受けても、彼は固定観念によってこれを軽視するか反発するだろう。
・すると固定観念とは何だろうか。この言葉の定義は手に余るが、要するに人はそれぞれ固有の生き方、価値観がある。多くの人の観念は普遍性を持ち、かつ誤りや時代に合わない観念は自ら修正している。その中で普遍性に乏しく、その観念を固く信じ、容易に修正しない人もいるのだ。彼らは変化を嫌い、これまでのやり方に愛着を持ち、それを守ろうとする保守主義者…。
・このような保守的な人だけでなく、心ならずも頭が固いとされる行動を取る人もいる。当然、反省もある。そしてこういう人が多いだろう。この人たちは変化を嫌う伝統主義者ではない。彼らは物事には別のやり方があり、今のやり方は選択肢の一つでしかないことに気がついていない。従って効果を求めるなら別のやり方を試してみることも、時に、もしくは常に必要なのだ。

・頭が固いとは結局何か。それは彼らがイメージする解決策に選択の幅や、その数が少ないということである。問題は発想と選択である。現状の中に隠れた問題点を見付け出し、今のやり方を変える発想を模索する。その数を増やす。それは考える癖であり、この癖は良い癖といえる。価値もある。
・しかし、人は保守的だからこれまでのやり方を否定したり、新しい考え方を示されると本能的に警戒する心理が働く。これも考える癖とするなら、悪い癖というべきか…。ともあれ発想が二つの者は発想が四つの者に敗れる。選択肢が四つある者は二つしかない者に勝つ。(この項、続く)

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