第220回 『 未来を予測する 』 7

  • 2007/02/20(火) 15:00:00

【 工業製生産は3分の1以上低下し 】
・一国の経済が破綻することを恐慌と呼ぶ。物価が短期で激しく上昇するハイパーインフレが、60年前に日本に起こった。インフレはロシア、トルコにも発生し、つい数年前まで続いていた。アルゼンチンは18年間苦しみに耐え、それは今も続く。恐慌は遠い昔の出来事であるが、今身近にあることでもある。
・恐慌にはインフレとは反対に、物価が下落を続けるデフレのこともある。1929年のアメリカの大恐慌はデフレであった。ニューヨークの株式市場は大暴落し、ダウ・ジョーンズはついに7分の1になる。工業生産は3分の1以上低下し失業率は25%にのぼった。

【 勝敗を真剣に考えない村の掟 】
・恐慌は災難であり避ける事はできないが、苦しみは軽減できる。たとえばハイパーインフレの場合は金を物に変えておくべきであり、デフレが予想される場合はできるだけ現金で持つべきである。上の例で言えば、ニュー・ヨークの株式はダウ・ジョーンズの最高値の僅か7分の1で買えるのだ。また恐慌はある程度予測できる。少なくも異臭を嗅ぎ取ることはできる。そして未来予測は想像力から始まる…。以上は1月23日、配信の要旨である。

・日本に恐慌は起こるか否か、誰にも分らない。残念ながら先進国の中で、日本が恐慌に最も近い位置にいることは確かだ。原因は中央と地方の債務800兆円にある。こんなべらぼうな債務を抱える国は日本だけだ。もう一つ、あの第二次大戦で勝敗の行方を真剣に考えることをしない村の掟は、今も日本人から抜けていない。すなわち、誰も恐慌を心配しないし、備える事もしない。お天道さまと米の飯はいつでもついてくる…。この不思議な信仰はイケメンの若者達にも健在だ。しかし日本に起こるかもしれない恐慌より、すでに起こってしまった恐慌を考えてみたい…。

【 すでに起こってしまった恐慌 】
・すでに起こってしまった恐慌とはどこの国のことかといえば、申すまでもなく日本である。時期は1990年1月に始まった。1989年12月末の東京株式市場で日経平均株価は38,900円の市場最高値をつけながら、新年の大発会以降、売られに売られる。2006年末の日経平均株価が17,200円だったから18年前の38,900円がいかに凄かったかが分かる。
・この高値が平成10年12,000円台まで下がり、平成11年末18,900円と反発して下げ止まった。誰もがそのように思った。ところがその後も株価の 下落は続き、平成15年4月にはたったの7,800円になった。ニューヨークの株式下落7分の1には及ばないが、実に実に5分の1の水準である。

【 ローンの支払いに今も数百万人が苦しんでいる 】
・暴落したのは株式だけではなかった。平成3,4年頃、土地の価格が下がりはじめた。それは値上がりが最も激しかった東京から始まり、数年後には地方都市を巻き込み、やがて全国に波及した。
・日本人は土地の値下がりを一度も見たことがなかった。それは戦後60年の体験だけでなく、おそらく明治以来の138年の体験でもあった。あの時、土地は信じられない事に半値になり、ついには4分の1にまで暴落した。地価の下落は東京、名古屋の大都市ではおよそ平成12年に下げ止まったが、地方では未だに下落が続いている。(この項続く)

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