第229回 『 意思決定と役員会 』 5
- 2007/05/21(月) 14:56:00
・金曜日、遅刻の多い社員Aが遅刻するのを、たまたま部長が目撃する。先週、Aには課長が遅刻を注意したはず…。けしからんとして叱る、そういう行為はあって良い。しかし、この判断が正しいか否かはAの出勤状況のチェックが必要になり、その最も確かな方法は数字を調べる事である。…さて、調べてみると今週のAの遅刻は1回であった。
・遅刻1回が何を意味するか、これを知るには過去の数字を見ねばならない。もしも過去3週間の遅刻が2、2、2であれば、一週間に遅刻2回がAの現状となる。それが課長の注意により遅刻は1回に改善された…。従って部長は改善を理由にAを誉めても良い。もしくは遅刻はなくせるはずだと、社員Aを注意するという選択もある。数字を基に見ていけば問題の姿が浮き彫りになり、判断を誤る事はない。
【 数値が正確に現状を示す 】
・ここには更に別の問題が存在する。Aの週2回の遅刻は1ヵ月では8回の遅刻になり、課長の管理責任が問われて良い。これまでAの遅刻を見逃していたのか…。とするならその理由は…。A以外の課員の勤怠の状況も悪いのではないか…。この課長の課は他部門に比べて、社員の勤怠状況が悪いのではないか…。
・これらの疑問にはすべて数値で回答できる。疑問には数値が正確に現状を示してくれる。このように問題を発見したら数字によってその大きさを明らかにし、適切な対策が用意できる。
・社員Aの遅刻については、期間を1週間という単位でチェックした。Aの遅刻が1ヵ月2、3回であれば週単位でなく、1ヵ月という単位で過去のデータを取る必要がある。そうでなくては遅刻の現状が見えてこない為である。
【 死んだデータと生きたデータ 】
・部門経営を正しく行なうには、数字によって現状を明らかにする習慣を身につけたい。それが判断の誤りをなくす唯一の方法である。部門を預かる管理職がデータの活用をマスターすれば、この上ない武器となる。ただし、データには役に立たない物が少なくない。例えば1ヵ月に1回作成される売上実績表は、大抵の組織で広く使われている。しかしこれは過去の実績を示すもので『死んだデータ』である。これを週1回の売上実績週報にしても『死んだデータ』にかわりない。週の数字の変化が何も語ってくれないからだ。しかしこれを『売上予測』週報に切り替えれば、データはたちまち『生きたデータ』に一変する。
・当社の表の中に縦横の線は一切ない。パソコンが数字をきれいに打ち出すので、線は必要ないからだ。データは一目見て理解できる事が肝心だ。その意味でデザインが大切である。また、当社のデータにグラフや、折れ線等の図はない。必要なのは数字の動きであり、ただひたすら数字が並んでいるだけである。
・当社のデータはこの10余年で150種類に増えている。データは5日目毎に制作されるもの、10日目毎のもの、月1回のものもある。内容は商品別売上昨比表があり、資金の動きを示すデータがある。役に立たないデータは捨てられ新しいデータと入れ替わっている。
・150種類あると大抵の問題の進行状況が管理できる。当社は幸い創業以来利益を計上したが、流石にバブル崩壊の4年位は赤字が続いた。それ以降赤字から脱したが、最近、再び赤字に落ちた。そして気がついたら、当社には年間利益見通表というデータがなかった。これでは大事な利益をコントロールできない。期末に近付けば損益は大体見当はつくが、これでは一年間の手遅れである。いろいろ工夫を重ねて、新年度になって2ヵ月であっても、損益の現状とその見通しが得られるようになった。
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