第283回 『 叱り屋ホリデー 』12

  • 2008/09/26(金) 15:00:00

  【 いずれがより悪い選択か 】解答…3
  ・管理者BとCはどちらも悪い選択であるとした。では管理者の取るべき行動
  として、より悪い選択はBとCのどちらであったか。

  ・まずBはプライドの高い部下を叱らない。この選択は、当然悪い選択である。
  それは素直な部下を叱らない事についても言える。悪い事に、叱らずに済ませ
  ばプライドの高い部下を今後叱る事がタブーになる。…そういう雰囲気が作ら
  れる。叱られない素直な部下は、犯したミスがたいした事ではないと判断する
  であろう。そして、また同じミスを繰り返す…。

  ・Cはプライドの高い部下との関係をぶち壊した。が、管理者としての任務は
  一応果たしている。また、たとえ関係が壊れても効果が全く無い訳ではない。
  ・Cは叱る事により、プライドの高い部下の態度は「この俺には通用しないん
  だ」というメッセージを送っている事になる。また叱責による関係悪化は、プ
  ライド氏にとっても不快であろう。プライド氏は今後、処遇において上司に差
  別されるのではと不安を抱く。自分の態度が通用しない人間もいると用心して、
  上司に対する態度が変わる可能性すらなくは無い。
  ・Cは素直な部下を遠慮なく叱る。この選択は正しいので、ここで論じるまで
  もない。
  ・従ってより悪い選択をしたのは、管理者Bと言えるのだ。

  【 正解 】解答…4
  ・正解は管理者Aである、…と思う。Aは素直な部下を遠慮なく叱る。プライ
  ドの高い部下には言葉を選び、気を遣って叱る。

  ・素直氏を叱る事は、彼を育成する為に必然である。プライド氏に対し、言葉
  を選んで叱る事も必然である。何故なら頭ごなしに叱責しても遠慮なく叱って
  も、反発を受けて関係が悪化し、ぶち壊すばかりである。部下の個性は十人十
  色であり、一人一人違うのである。部下の性格に合わせた叱り方が必要である。
  ・プライドの高い部下には言葉を選んで叱る心配りが大人の知恵である。従っ
  て、部下により叱り方を変える事は良い選択であり、少しも誤りではない。

  ・また管理者は部下のミスを発見し、その誤りを相手にきちんと注意、叱責す
  る事を任務としている。その点で、Aは間違いなく管理者としての任務を果た
  しているのである。

  【 同じ事を何十回も 】
  ・では管理者Aがプライド氏の誤りを彼に伝達する事により、どのような効果
  が得られるだろう。注意、叱責する事だけで、はかばかしい効果が得られるな
  ど到底考えられない事だ…。Aがプライド氏に彼の誤りを叱責したとしても、
  彼はしかめ面で聞き流すだけだろう。あるいは、下手をすると反発、反撃され
  るかもしれない。少なくともプライド氏がAの注意、叱責を受け入れる事はま
  ずあり得ない事である。
  ・よって、プライド氏はいずれ同じ行為を繰り返すに違いない。その時、管理
  者Aはどうするべきであろうか。

  ・答えは一つである。Aはプライド氏を同じように再び注意するしかない。A
  が行った叱責は効果を生まない無駄な行為になっている。無駄な事は誰もがや
  めるべきと判断する…。が、Aはそれをやらねばならない。何故か。それは管
  理者の任務に反する事になる。効果がなくとも管理者は任務としてやらねばな
  らないのだ。諦める事なく10回でも、20回でも!! すると、どうなるであ
  ろうか…。

  ・日本語にはこれを表現するピッタリの言葉がある。それは『 影を潜める 』
  である。この言葉には、相応しい副詞がある。それは何か…。『 いつしか 』
  である。管理者が叱り続ける事による効果は、部下の誤れる行為がいつしか影
  を潜める事にある。

  読者のお一人より
  『 影を潜めるのは結構だが、どうやってそれを証明できるのか? …ですと 』
  ・お忘れなんだ…。少なくとも我々は、親に叱られて育てられたはずだ。同じ
  事を何十回も!!
  


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  『 叱り屋ホリデー 』は全12章の連載です。

第282回 『 叱り屋ホリデー 』11

  • 2008/09/19(金) 15:00:00

 【 3つのパターン、いずれが悪い選択か 】解答…1
 ・『 引っ込み思案のB 』は、プライドの高い部下の反発を恐れている。敢えて叱
 責しても目ぼしい効果は現れるどころか、関係悪化は火を見るより明らかだ。
 ・但し、このまま見過ごすには忍びなく、軽く注意する位はやる者もあろう。しか
 しこの軽い注意では、注意、叱責という本来の行為には足下にも及ばない。それは
 自己欺瞞に過ぎず、プライド氏には痛くも痒くもないであろう。プライド氏はおそ
 らくまずかったという反省はあっても、巌流島で上司が逃げて叱られなかった為、
 態度を改めるどころかそのままのさばるという結果を招くであろう。

 ・プライドの高い部下、これを見逃すのはやむ無しとしても良い。本当の事を言う
 と、私自身が彼を叱れるかどうか分からない、…のだ。では、素直な部下を叱らな
 い選択、ここにどのような問題が潜んでいるのか。
 ・Bが素直氏を叱る事をしないのは何故か。それは部下の為ではなく、まず自分が
 公平でありたいが為である、…と思う。素直氏はもし叱られたならそのミスを改善
 出来るかもしれないというのに…。Bは素直な部下の成長のチャンスを奪っている
 のである。この時、Bはいかなる心理からあの行動に出たのであろうか。

 ・プライド氏を叱らないのなら、素直氏も叱らない。Bは公平でありたいとした。
 彼は正しい道を選んだつもりだが、それが錯覚だった。プライド氏に対して叱れな
 いという、臆する気持ちから彼は誤りを犯したのだ。彼は自らが犯したその過ちを、
 公平という名のもとに素直氏にも誤用したのである。従って管理者が取る行動とし
 ては、Bは悪い選択をしたと言えるのである。

 ・Bが素直な部下を叱らない理由はもう一つある。彼は単に部下との間に波風を立
 てたくないのだ。この彼の流儀によって叱らなかった、という所が真相かもしれな
 い。だから素直な部下が単独でミスを犯したとしてもBは叱らない可能性がある…。

 【 悪い選択はもう一つある 】解答…2
 ・では、Cの選択はどうであろうか。『 猪突猛進のC 』は素直な部下とプライド
 の高い部下を同じように叱る。まず素直な部下を叱る事は正しい、とすべきであろ
 う。素直氏は叱責を受け入れ、ミスを改善する可能性がある。Cは素直氏に成長の
 チャンスを与えているのである。

 ・問題とすべきは、Cがプライドの高い部下を叱る事だ。素直氏と同じように…。
 その結果はどうなるのだろう。
 ・素直氏と同じようにという事は、Cは遠慮なく叱るという事であろう。プライド
 氏が相手なら、巌流島では間違いなく戦争が勃発するに違いない…。この結果、部
 下の成長という戦利品を得るどころか、互いに関係悪化という深手を負わねばなら
 ない。

 ・同じミスをした二人を同じように叱る事は、公平ではあろう。しかし、公平では
 あっても成果が無く、関係が悪化するのは分かりきっているというのにみすみす関
 係をこじらせてしまうとは。…賢明な管理者のする事であろうか!! つまり、パター
 ンCもまた悪い選択をした、とすべきである。


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第281回 『 叱り屋ホリデー 』10

  • 2008/09/12(金) 15:00:00

  ・前章である。注意、叱責の場において管理者がよく犯す過ちがあるとした。
  公平である為に誰にも同じ扱いをすべきと、潜在的思い込みが強いのだ。いや、
  公平であろうとするのは正しい。が、その思いが逆に平等に叱るという誤りを
  犯し、叱責を不公平にして部下の不満を招く。
  ・例えば、部下が犯すミスはそれぞれ経緯が異なり、個々に事情がある。ミス
  の数は初めてもあれば3回目もあり、その叱責に軽重の差をつけねばならない。
  公平でありたい管理者の善意が判断ミスを招き、逆に叱責を不公平にする。

  【 部下のタイプ 】
  ・部下には素直な者、プライドが高い者がいる。前者には強弱の差はあるが誰
  でも比較的遠慮なく叱れる。後者は叱り難く、やや手控えたりしている…。部
  下を叱ろうとする時、管理者はこの二つのタイプに直面しなくてはならない。
  この時、誰もが公平と不公平の狭間で取るべき姿勢が揺らぐであろう。二つの
  タイプの部下が同じ部門にいなければ良いのだが…。両者が同じミスを犯した
  なら、指導する上司にとって誠に具合の悪い事になる。

  【 3つのパターンA、B、C… 】
  ・島に向かう小舟に揺られながら、同じミスを犯したこの二人を「公平に扱え、
  公平に」と自分に言って聞かせつつ…。上司はその場、巌流島において、いか
  なる選択を持って部下たちに臨むのか。
  ・彼が選択する行動には3つのパターンが考えられ、それ以外には無い。一つ
  は前者を遠慮なく叱る。後者には言葉を選び、気を遣って叱る。パターンAで
  ある。次は前者も後者も叱る事をしない、パターンB…。最後の一つは前者も
  後者も遠慮なく叱る!! これがパターンC行動だ。

  ・素直な部下とプライドの高い部下。公平と不公平の狭間で、上司が選択する
  3つのパターンA、B、C…。この中で皆さんはいずれを正解とすべきと考え
  るか。また悪い選択とすべきは、この3つの中のどれであろう。最後に管理者
  として、いずれが最も悪い選択をした、とすべきであろうか。


  【 正解はやはりあるらしい 】
  ・皆さんは思っているだろう。こんな所に正解なんてあるのだろうか。
  ・まずAは…。人によっては遠慮なく叱り、相手を見て叱る態度を豹変させる…。
  威張り屋、かつ裏表の激しい男である。Bはどうか。難しい部下を見逃すのは
  やむ無しとして、叱れる部下も叱らない。引っ込み思案の管理者が、いったい
  何の役に立つというのか。最後にCである。後先を考えず猪突猛進の部門長な
  んて、全てをぶち壊す破壊者だ。

  ・酷いな…。こんな所に正解なんかあるもんか!! 3人はどいつもこいつも胡散
  臭くて、怪しげだ…。しかし、巌流島に臨む彼の行動は3つのパターンが考え
  られ、それ以外には無い、と執筆者は言っている。…すると、正解はやはりあ
  るらしい。


                       
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第280回 『 叱り屋ホリデー 』9

  • 2008/09/05(金) 15:00:00

  【 勝負所 】
  ・部下への注意、叱責が必ずしも人間関係を悪化させるとは限らない。何故な
  ら、それは何よりも部下自身の為に行われる事である。課長は、この点におい
  て部下の理解を得る必要があり、育成に成功するか否かの勝負所はここにある。

  ・態度が悪い、仕事が雑など芳しくない批評があるなら、それによりAが支払わ
  されているツケはいくらになるか…。課長はAにそのツケの大きさを教える必要
  がある。
  ・上司から評価されないのは良いとして、仲間から向けられる目が冷たい。人
  間関係がギクシャクしている中で、会社に出掛けて仕事をしている。
  ・それに引き換え、大きな声で『 おはようございます 』と声を掛けニコッと
  笑うなら、Aに対する評価は一気に変わる。手を抜かないで仕事に取り組む姿勢
  は、お客だけでなく仲間からも評価されよう。ツケの大きさの説明と同様に、
  ツケがない場合の効果の説明が必要である。

  ・こんな事は急に出来なくとも良い。いや、課長は急にさせてはいけないのだ。
  育成とは時間をかければ必ず出来る。この信念はまず管理者に、次に本人に必
  要となる。これが注意、叱責における第一の心得である。

  【 丁寧な言葉 】
  ・第二の心得は、荒く雑な言葉を避けて、出来るだけ丁寧な言葉を遣う事であ
  る。注意、叱責とはそれでなくても相手を不当に傷付けるか、怒りや反発を招
  く危険がある。注意、叱責の目的は部下育成にあるのだ。育成の過程で傷付け
  たり、反発心を起こさせれば、部下を良くするどころか悪くする。よってこれ
  らは絶対に避けるべきであり、ここでは有効なものとして丁寧な言葉を使うべ
  きである。それが大人の知恵でもある。
  ・中には部下の反発を受ける危険があるので、先制攻撃として荒い言葉で威圧
  する上司も少なくない。このような管理者は論外とすべきであろう…。

  【 反論を予測 】
  ・第三に、反論を予測しておく事である。不用意に注意、叱責して部下の思い
  がけない反論を受ける事がある。不意をつかれた管理者は、相手をピタリと黙
  らせる適切な言葉が思いつかない。そこでついカッとなり、理屈に合わない事
  を部下を相手に言い募る。明らかに管理者としての力量や経験不足を皆の前で
  露呈する事となる…。
  ・注意や叱責を受けた者が上司に反論してくる事は、十分予想出来る事だ。一
  人の大人に注意、叱責を与えようとしているのだから、相応な理由をあらかじ
  め用意しておくべきである。そうすれば、皆の前で醜態を晒す事はないのであ
  る。

  【 公平、不公平 】
  ・二人の部下が同じミスをすれば、二人を同じように叱る事が公平である。も
  し叱り方を変えれば、不公平ではないかと部下から不満が出る。口に出さなく
  とも、部下は内心に不満を持つ…。この理屈は正しいように思える。よって管
  理者は同じように部下を叱り、なるべく公平であろうとする。果たして、これ
  は正しいのであろうか。

  ・同じようなミスをした二人の部下がいるとする。一人はそれが初めてのミス
  であり、他は同じミスを以前に3回している。とするなら注意、叱責の仕方は
  変えて当然であり、同じように叱れば初めてミスをした部下が不満を持つであ
  ろう。公平とは、同じミスに同じ叱り方をする事ではない。個人の状況に応じ
  て叱り方を変える事が公平なのである。

  ・部下の中には、叱責を素直に受け入れる者がいる。一方、プライドが高く叱
  責に強く反発する者がいる。前者には遠慮なく叱る事が出来、事実多くの管理
  者がそのようにしている。後者には叱る事を手控えたり、軽く済ませたりする
  事がある。良心的な管理者は一方では叱り、一方では逃げる自分を後ろめたく
  感じている。これは正しいのか、誤りなのか…。
  ・部下から強い反発が来ると分かっていながら、叱る。この行為は間違いであ
  る、…と思う。何故なら、叱責する事による効果が満足に得られない。…ばか
  りか、二人の人間関係を悪くするというマイナスを確実に生んでいく。故にプ
  ライドが高い男には、懇切丁寧に言葉を選ぶ心配りが必要となる。人は十人十
  色なのだ。部下の性格に合わせて叱り方を変えるのが、正しい選択とすべきで
  ある。

  ・注意、叱責における心得の第四は、相手によって注意、叱責の仕方を変える
  事である。


  ※ 次回のメールマガジンの配信は、9月12日です。
  『 叱り屋ホリデー 』は全12章の連載です。

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