第277回 『 叱り屋ホリデー 』6
- 2008/08/15(金) 15:00:00
【 その小さな問題を大きくしないよう気を遣っている 】
・この二人の人間関係というものは、いったいどのようなものなのであろう。
二人は良好な関係だろうか。何かしらの問題が二人の間に存在するのであろう
か。
・二人は、「その小さな問題を大きくしないよう気を遣っている」と前章の事
例記述の中にある。この記述が二人の人間関係について書かれている唯一の手
掛かりである。従って、ここに書かれた表現をもとに厳密に解釈を進めてみた
い。
【 人間関係を作っていくべく努力を行っている 】
・その小さな問題を大きくしないよう気を遣っている、という表現から考えら
れるのは、どのような事であろう。この気を遣うという表現は、二人は相手の
心や感情のぶれに神経を遣っている状態が窺える。自分を悪く思われたくない、
良く思われたいとの意識があるのであろう。また、小さな問題を大きくしたく
ないと思うのは、関係が悪化するのを避けたいという思いがある程度心に強く
働いているのであろう。
・これまで見てきたように、二人の人間関係についてまとめると次の4つの事
が言える。第一に、二人は人間関係に決して無神経ではなく、共に大切にして
いると考えられる。第二に、二人の間の関係を悪化させるような言動は互いに
極力避けている。第三に、二人は人間関係を良きものにし、それを保ちたいと
考えている。第四に、人間関係を作っていくべく努力を行っているのであろう。
【 微妙なやり取り 】
・以上の考察を正しいとすれば、二人は特別に人間関係に問題はないと考えら
れる。ただ、この二人の会話を思い起こすと、そこには「微妙なやり取り」が
あるように感じられなくはない。複雑な心理とそれが醸し出す人間関係が読み
取れるように思われる。
・二人の人間関係を考える手掛かりは、事例の記述の中に一つしかないと先に
述べた。が、二人の会話の中に読み取れる「微妙なやり取り」という状態が、
二人の人間関係を読み解くもう一つの鍵となろう。
・ここから読み取れる事は、三つある。第一に、二人の人間関係は既に悪くな
っているのではないか。第二に、言葉半分の関係である。第三に、二人の間に
はそもそも人間関係が無いのではないかという事である。ここで、この二人の
会話に働いている心理を考えてみたい。
【 人間関係は既に悪くなっている 】
『 A君、今、社用車戻った。キーだ。いつでも使えるよ 』 『 あ、ハイ 』
『 ところで、あの仕事どうなった? 』
『 もう、…終わってますよ。(知らないんですか?) 』
『 エ、いつ?(何だって !! ) 』
『 一時間位前ですか…。(知りたきゃ、聞けばいいのに) 』
『 そう、…知らなかったネ。(ダメだね、言わなくちゃ) 』
『 …別に。(隠していた訳じゃない) 』
『 じゃあ、この仕事をやって。(本当なら一時間前に頼めたのに…) 』
『 納品に行く予定ですが?…車で。(これからやる仕事があるのにな) 』
『 こっちが優先。終わったら行って。(急ぐんだよ、こっちが !! ) 』
『 …ハイ。(こっちは、そんな事情知りませんよ…) 』
・二人の会話には、上司に反発する部下の本心が隠れている可能性がある。し
かも可能性は高いのだ。もし本心がこのようなものなら、二人の人間関係は既
に悪くなっていると考えられる。では人間関係が悪いなら、二人のもとでは何
が起こるであろうか。(4月26日、この項、続く)
※ 次回のメールマガジンの配信は、8月22日です。
『 叱り屋ホリデー 』は全12章の連載です。
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