第275回 『 叱り屋ホリデー 』4

  • 2008/08/01(金) 15:00:00

  【 土台 】
  ・週1回、5分の遅刻をする者を上司が黙認する。遅刻をする彼が営業職の場
  合、様々な問題が浮き彫りとなった。自己管理能力が欠落すれば、それだけで
  営業の仕事は崩れていく。

  ・言い換えると、営業という仕事にはやるべき仕事があり、それは本人の自由
  裁量に任されている。やるべき仕事は、たいてい辛い仕事である。自由裁量だ
  から彼はやらない事もあり、この方が多いであろう。やらなくとも上司から咎
  められる事は少ないであろう。その代わり、彼はこの報いをきちんと受け、ツ
  ケを支払わされる事になる。営業の数字という…。つまり営業という仕事は、
  自己管理能力が土台として成り立つのである。

  【 ボロを出す事なく無難に 】
  ・では、彼が製造職の場合なら問題はどうなるであろうか。月4回、合計20
  分の遅刻をし、遅刻でない日には始業間際に駆け込む製造担当…。
  ・製造では物を作る工程は定まっており、1日に作る量がほぼ決まっている。
  ベルトコンベアーで一定のスピードの仕事なら、この男が5分遅れて駆け込ん
  でも何とかお茶を濁す事が出来るであろう。数人でチームを組む、組み立ての
  仕事なら仲間の視線があり、彼はボロを出す事なく無難にこなして行くかもし
  れない。

  ・一方、始業30分前に出社する製造担当…。彼は、昨日作った製品の品質の
  チェックが出来る。工具の点検や、今日使用する材料に不備がないかを確認す
  るであろう。不良品が出やすい工程について、技術課の担当と意見を交わす。
  覚えの悪い新人に、細やかに指導をしている。
  ・このように30分前に出社する彼は、現場の隠れた所で計り知れない貢献を
  しているのである。こういう人を「人材」と呼ぶ。そして、「人材」はいずれ
  然るべき地位に登る。

  【 近道 】
  ・彼の仕事が製造であれ営業であれ、自己管理能力は自分にも人々にもプラス
  に働いている。よって上司が部下の遅刻を黙認するのは、部下にとっても会社
  にとってもマイナスを生んでいく。自己管理能力は、その男が会社に出て来る
  時間をみればすぐ分かる。この能力が乏しければ、始業ギリギリに出社する。
  この能力が備わっていれば、余裕を持って出社する。自己管理能力を養うには、  
  上司は部下を30分早く出社するように指導するのが近道となろう。これが習
  慣となれば、本人にとってこの上ない財産となる。

  【 差 】
  ・が、製造の現場では営業における差ほどは、仕事の成果に差はつかない…。
  何故なら製造は、やるべき仕事がほぼ定まっており、それを時間内でこなして
  いく。つまり、製造という仕事は勤務時間が土台として成り立っているのであ
  る。営業のように自己管理能力の欠落が仕事をガタガタに崩してしまう事は起
  こり難いからである。

  ・営業、製造のそれぞれの職種において、週1回、5分遅刻をする自己管理能
  力が欠落している者について考察した。
  ・では、彼の仕事が事務の場合はどのようなマイナスを生むであろうか。

  【 腹の膨れたファイル 】
  ・彼の仕事ぶりはどうであろうか。まず、彼の机の上は、書類でごった返して
  いる。彼の机の引き出しを開ければ、腹の膨れたファイルが詰め込まれている。
  その8割は要らないものであるが、彼は捨てない…。この為、必要な書類が見
  つからず、絶えず探す事になる。書類の提出期限を忘れている。彼のメモは汚
  い字で省略が多く、読み取れない。

  ・30分前に出社する事務員は必要書類を分かり易くファイリングしている。
  不要になったデータをファイルからこまめに取り除いて捨てている。出来上が
  った書類にミスがないかを焦らずに確認している。上司への報告をマメに行っ
  ている。在庫の少なくなっている事務用品にいち早く気付いて注文をしている。

  ・書類が整理されていなければ、探すのに不必要な時間を費やしてしまう。事
  務職は、その作業をスムーズに素早くこなせるかどうかは、自己管理能力に依
  る所が大きいのである。(4月15日、この項、続く)
                                    
  『 指導力の源泉 』―考える技術―
  財部一朗
 
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  ・「学校の様子が手にとるようにわかりました」 (日本で最も潰れやすい会社
  /2007年11月〜2008年2月配信)


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  『 叱り屋ホリデー 』は全12章の連載です。

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