第273回 『 叱り屋ホリデー 』 2
- 2008/07/18(金) 15:00:00
【 叱る風景 】
・私は前章で「上司が部下を叱るのは、あちこちの事務所で見られる風景」と述べた。ところが、叱る風景は現実の職場では見られなくなりつつある。それがどこで見られるかというと、テレビドラマの中である。ドラマをつくるシナリオライターは職場の現実を知らない。もしくは叱り、叱られの関係の中には人間を表現でき、上司らしさ、部下らしさが描ける。だから、シナリオライターは現実を知っていても叱る風景を描く。
・だが、現実には管理者が職場で部下を叱ったり、注意したりする事は少なくなってきている。理由はいくつかある。部下を叱る行為は部下との関係にマイナスに働く。管理者と言えども、部下に嫌われたくない。嫌われれば、今後の仕事がやりにくくなる。嫌いな人からの指導は、部下にとって受け入れ難くなる。部下に反発される場合もある。部下を傷付けたくないという心理も働くであろう。
【 2割、2割、6割 】
・社員の中には、常に問題を起こす部下がいる。逆に、注意深さで問題を発見してトラブルを回避している部下がいる。一週間に一回は会社に5分程度の遅刻をしてくる部下がいれば、始業の30分前に出社している部下がいる。社員の中にはいろんな種類の部下がいる。例を挙げればきりがない。部下の仕事に対する考え方や行動、及び能力は千差万別だ。上司は、その千差万別な部下を何人も抱えている。
・常に問題を起こしている部下、管理者泣かせである。その部下の割合は、社員の1割程度であろうか。それに準じた頻度で問題を起こす部下がまた1割はいる。この2割が管理者には要注意である。反対に、物事をよく心得ている部下がいる。管理者には有り難い部下だ。これも1割位はいよう。次に、教えなくとも自分で学習をしている部下が1割はいる。従って、こちらの2割には心配が要らない。そして、残りの6割がその中間にいて、浮いたり沈んだりしながら時々、間違った事をして叱られている。
【 黙認 】
・週に1回、5分程度の遅刻をしてくる部下がいるとしよう。この事は問題であるか否か。…もちろん問題である。遅刻を良しとする管理者はいない。しかし、管理者は彼を本当に改めさせようとするだろうか。7割の管理者は遅刻は良くないと思いつつ、見逃すだろう、…と思う。遅刻は、月に換算して僅か20分。こんな事を叱って、部下との関係を悪化させたら逆にマイナスが大き過ぎると判断する…。では、このまま遅刻を黙認するなら、プラスマイナスどのような影響が生じるであろうか。
【 時折遅刻 】
・時折遅刻をする社員が営業職であるとして考えてみよう。彼はたぶん、お客との約束時間に時折遅刻をするはずだ。この事は、確実にお客の信用を失う事に繋がる…。
・別の彼は、逆に始業の30分前には出社しているとしよう。彼は成果に繋がる見込み客への電話を、かの時折氏よりもはるかに多く掛ける事が出来る。もしくはお客に、より内容のある提案を作成する時間の余裕を持てるに違いない。
・このように、遅刻を黙認する事は部下に小さくないマイナスとなり、30分前主義を上司に叩き込まれた社員には、おそらくかなりの成果をもたらしているであろう。
・つまり、この社員が数分の遅刻を未だに"繰り返している"とするなら、それは"自分を管理する能力の欠落"を端的に示しているのである。(4月8日、この項、続く)
※ 次回のメールマガジンの配信は、7月25日です。
『 叱り屋ホリデー 』は全12章の連載です。
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