第272回 『 叱り屋ホリデー 』 1

  • 2008/07/11(金) 15:00:00

【 ミーティング 】
・ここの所、毎日のように私は新宿の本部に出社する。執筆指導だ。本部に通い詰めるのは実に15年ぶり。
・30歳の私の友人が、『 外出するとあなたはイキイキするから、Aとミーティングしたらどうか 』と主張する。私は彼女の主張を受け入れた。今、事情があって若さを必要としているからだ。大義名分もある。もっとも、会長が本部に出社するのに、大義名分など必要ないが…。身近な人は一層身近になる。新人とは初めて対面する事になる…。

・新人は、美人ではないが可愛い人だ。彼女は今、部門長をガンガン叱咤する原稿を書いている。その彼女の顔をよくよく見ると、何と幼い事か。原稿の内容と顔立ちのあまりのアンバランスさに、つい私は口が滑る。
・『 あなた、よく見たらとても幼い顔をしてるネ 』 傷付けてしまったか。すると、こんな返事がきた。『 はい…。高校3年の時、バスに乗ったら「子ども料金でいいよ」と言われた事があります… 』 私は物書きだから、ここで突っ込む。『 で、子供料金で乗ったの? 』 『 いえ、大人の料金を払いました 』

【 あだ名 】
・フフフ、私はAを指差し『この人のあだ名知ってる?』と新人に聞く。
『 …身近な人、ですか? 』 『 そう、その通り。あなたは、幼い人で決まりだ! 』 身近な人と幼い人。今後、どんなドラマが生まれるか。
・取締役のTが横から話に加わる。『 私は会長にホリデーと名付けられましたよ。英会話コースのチーフをしていた時、暫く休めなかったので「休みを2日下さい」すると、会長からファックスが来ましたね。「チーフにホリデーはありません」と… 』 『 フフフ、それからホリデーなんだ 』

【 部屋の反対側から… 】
・ミーティングの最中、ホリデーの声が聞こえてくる。部屋の反対側から…。彼の目の前に立つ、失敗したらしい部下を叱っている。
『 何故、すぐに報告しなかったんだ! 3日間、何故黙っていた! 』
『 分からないなら、なんでその場で聞かなかったんだ! 』 
・声は大きく、クドクドと…。同じ事を繰り返す。それが、5分、10分と延々続く。聞いているこちらも、決して気持の良いものではない。その上、気になって仕事に集中出来ない。

・これは、何もここに限られた話ではない。上司が部下を叱るのは、あちこちの事務所で見られる風景だ。

【 成る程… 】
・あれは2年前の事だ。『 T取締役が頻繁に、しかも長い時間、部下を叱っておられます。それで気が散るので… 』 と課を挙げて別のフロアに移っていった部門があった。『 成る程…。ホリデーはこんな風にやっていたんだ。課長のSが逃げていく気持ちも分かるなァ… 』

【 理由は三つ 】
・実は、昔のホリデーは、叱る事が出来る人間ではなかった。大人しくて、叱られる側の人間だった…。それが、何故変わったのか。

・叱るようになった理由は三つ考えられる。一つの理由は、…血と言うべきか。二つ目は環境。三つ目がこの私だ。
・一つ目の血。ホリデーの伯父は私の友人で、ガミガミと文句を言い、よく怒る。私はホリデーに言う。
『 あなたにもやっぱり小林家の血が流れていたんだ… 』
・二つ目の環境。当社は、会長の私が家で研究開発を中心に行う。社長は、お客様先、学校、講演会と外を飛び回る。ホリデーは、本部にいて会長の私の代行として、社内を仕切る。学校と8営業部門に対し、常に目を光らせている。叱るとは限らないが、叱らねばならない立場にいる。
・三つ目のこの私…。『 長年に亘り、部下への叱り方を私は教えてきた 』とAが草稿を書いてきた。私は言う。『 そんな上品な事、私はやってないヨ。やり方はもっと下品…。何をしたか分かる? 』 『 …分かりません 』
・答えは簡単。『 部門長、叱っといた? 』 『 …いえ、まだ 』 『 じゃあ、叱っといて 』それだけネ。楽してるんだ、この私は…。(3月26日、この項、続く)

※次回のブログ更新は、7月18日です。
 『 叱り屋ホリデー 』は全12章の連載です。

 にほんブログ村 経営ブログへ