第252回 『 日本で最も潰れやすい会社 』 6
- 2008/01/18(金) 15:00:00
・前号である。やがてテレビも40キロ夜間行進の映像と共に、断定はしないまでも『地獄の訓練で又も事故』のテロップが流れるに違いない。彼らは当校の映像はたっぷり持っているのだ。それだけで訓練生の大半を失うだろう。そういう日が来ると私は感じていた。いや、いつか必ず来ると私は認識を変えた。
・それでも学校は生きのびねばならない。そんな事が出来るのか。私は対策を模索した。その対策が辛うじて見つかった。…何と、あったのだ。
【 企業にとってなくては困る存在 】
・その一つは学校を企業にとってなくては困る存在にすれば良い、だった。なくては困る存在、それを実現する道は教育効果を抜群にすることであった。当時も当校は教育効果では定評があったが、その程度では足りなかった。
・抜群にする為に、私は新しい教育技術をいくつか考案した。すでにある技術を正しく使わず我流で行う者が多かった。あるいは手を抜く者も。それらを講師に指導し、習熟させ、現場で活用し、効果を確認させる…。37人の講師、10人のセミナー講師、及び20余人の予備講師にこれを行う。彼らは我流や古いやり方を改め、新技術を受け入れる事に強く抵抗した。
・7年の歳月をかけ、粘り強く教育を続けた。では抜群の効果は得られたか。否、答えはノーである。ただ今年、いや今、その兆しが現れ始めた。それは多分、数年後に抜群の教育効果を実現するだろう。2年か、5年…。多分10年はかかるまい。
【 トップは事実を隠蔽し傷を広げる 】
・何があっても学校が生きのびる…。対策の第二はお客様の信頼を勝ち取る事である。それも絶対の信頼でなくてはならない。では、絶対の信頼とはどのようなものか。信頼を得る上で障害となるものは何か。それはお客様がどんな企業に不信を抱くかを見れば分かる。そしてこんな事例はテレビのチャンネルをひねれば一目瞭然だ。
・食品偽装が連日のように報道されている。やがてトップが深々と頭を下げて偽装の事実を告白し、原因と対策らしきものを説明する。しかしここで語られた事は偽装のすべてではない。一部である。従って偽装は次々に発覚し、トップはその度に謝罪せねばならない。トップによる隠蔽と嘘は救いようがなく、人々に不信感を与える。
・もともと企業には隠蔽体質がある。内部の不正や不祥事は隠しておきたいのが人間の本性である。 体質に根ざすだけにその立場に追い込まれると、トップは事実を隠蔽し傷を広げてしまう。信じられないが船場吉兆はトップの関与を否定し、パートの店員たちと食肉会社にその責任を押し付けた。こんな企業をお客が信頼するはずがない。赤福と違い詐欺まがいの行為で高級品を売りつけた船場吉兆は、生き残れないのではないか。
【 講師の権限は旧日本軍の如く絶対 】
・隠蔽体質は企業だけでなく、警察や官僚はそれ以上だ。企業は競争社会だから自制も働くが、倒産の危険のない所には自制はない。中でも公立校など教育界の隠蔽体質は際立っている。しかし、当校の講師の隠蔽はその比ではない。当校では生徒に対する権限の強さが比較にならないのだ。今、生徒に対する教師の優位性はどんどん失われている。中学、高校はとっくに、小学校の低学年においても…。
・養成学校の講師の権限は旧日本軍のそれの如く絶対だ。それは訓練生と講師の構成比が14対2である事が原因の一つであり、衣食住を抑えられているのが原因の第二。しかし、何よりも合格という絶対目標に対し、講師は訓練生の能力を高める指導技術を有しているからである。
・こういう雰囲気のもとにあると講師は錯覚する。『俺は偉い…』。少なくとも訓練生が低く見えてしまう。それが相手を見下し罵詈雑言を生む。(この項、続く)
第251回 『 日本で最も潰れやすい会社 』 5
- 2008/01/10(木) 15:00:13
【 撮影開始の一週間前に映画は打切り 】
・ところがとんでもない事が持ち上がった。フォアマン監督は大相撲の実戦を10台余の撮影機を駆使して撮る予定で、すでに相撲協会の許可を得ていた。ある日の委員会で、横綱審議委員であるソニーの盛田昭夫会長は挨拶をした。『いよいよヘル・キャンプの撮影が始まります。よろしくお願いします。』すると突如、一人の委員から強硬な反対意見が飛び出した。『007で苦い思いをしたじゃないか!』
・それからどのような経緯を辿ったか私は知らない。『養成学校が主な舞台じゃないか』という意見もあったらしい。兔に角、相撲協会では実戦の撮影は拒絶と決まった。
・盛田会長は責任を感じ、イ.国技館を借りる。ロ.土俵は本場所と同じものを作る。ハ.数千人のエキストラを用意する、と監督に提案した。しかし紛い物の被写体にアカデミー賞監督は乗る事なく、撮影開始の一週間前に映画は打切りと決まった。そして傷心の監督は日本を後にした。
【 盛田会長は面談を拒むはずがない 】
・氏は本物しか相手にしない。当校の訓練がもしも紛い物であれば、この監督を一年間、学校に惹きつけておけない。また、アメリカ人の自分が日本人への認識を間違ったら、映像の迫力を削ぐことを氏は恐れたのであろう。『何でも自分に言って欲しい』には本物を求める氏の姿勢が表れている。
・フォアマン氏は去り、アカデミー賞の監督が訓練風景をどう描くかを見たい思いが私には残った。また、高校時代に松下電器の松下幸之助社長が来校され、その講演を聴いていた。25歳の時、東京有楽町の日劇ミュージックホールで雷族の親方、本田技研の本田宗一郎社長の熱い言葉に接していた。そしてソニー。それだけにソニー盛田昭夫会長とお会い出来るかもという期待が、指の間からこぼれ落ちていることに気が付いた…。
・それにしても浅慮であった。映画製作に全面協力をした養成学校の社長との面談を、盛田会長が拒むはずがなかったのだ。こんな事に今頃になって気が付いた…。
・17年ほど前に『地獄の訓練』のコース名を『管理者養成基礎コース』に変えた。あのワースト広告賞を得た広告も、広告予算の制約もありやめた。地獄のイメージを消したかった。
・訓練生が減る中で、持病を理由に入校をお断りするのは辛かった。特にオフシーズンには…。中には怒る方もおられたが、お客様の為にも退く訳にはいかなかった。営業がアドバイスして、お客様が持病を書かないようにした形跡もあった。講師の注意力には個人差があった。安全は徹底したつもりだが、やはり限界があるのだ。
【 それでも学校は生きのびねばならない 】
・事故は起こる。重なることもある。すると早耳の週刊誌がまず書きたてるだろう。やがてテレビも40キロ夜間行進の映像と共に、断定はしないまでも『地獄の訓練で又も事故』のテロップが流れるに違いない。彼らは当校の映像はたっぷり持っているのだ。それだけで訓練生の大半を失うだろう。そういう日が来ると私は感じていた。いや、いつか必ず来ると私は認識を変えた。
・それでも学校は生きのびねばならない。そんな事が出来るのか。私は対策を模索した。その対策が辛うじて見つかった。…何とあったのだ。
・最後になりましたが、明けましておめでとうございます。微力ですがメールマガジンに全力を尽くしていく所存でございます。(この項、続く)
- HOME |



