第249回 『 日本で最も潰れやすい会社 』 3

  • 2007/12/20(木) 15:00:00

【 見ろ!俺は世界に無いものを作った 】
・『 ピカンピカンの男に変えて 』の突出し広告は五段半載に変えた。地獄の炎をイメージした黒地に、白抜きで地獄の訓練が浮き出す迫力のある広告となった。この広告が後に月刊誌宣伝会議においてぢのヒサヤ大黒堂と共にワースト広告に選ばれてしまった。広告代理店の担当者に、『 これはどういう事?』と尋ねると、『それだけ印象深い広告という事です。喜びましょう』とかわされた。

・地獄の訓練の訓練生の数は相変わらず一期200人を超えていた。春から夏へのシーズンには月の1日と16日には全国から400人を超えるビジネスマンが学校にやって来た。これにつれて社員の数も400人を超えた。研究員が研修コースを作り、小売店ではなく当社の営業マンが100%販売し、14名で一班の班には二人の講師が張り付き、20項目にわたり審査員が一人一人を審査する。一方では賄いが三食を作り、営繕があり事務局がある。学校は99%手作りであった。
・今、製造業は機械が8割を作り、コンベアーやコンテナがこれを運ぶ。当社のビジネスは一般企業と一線を画した。『99%、…残り1%は何ですか?』と問われたら、『賄いで使われている自動皿洗機です』と答えるだろう。しかし、この99%がやがて重大な意味を持ってくる。

・テレビの取材は続いていた。『見ろ、俺は世界に無いものを作ったんだ。すると世界中が学校を見にやって来る』私は得意の絶頂にあった。

【 学校は即座に8割の訓練生を失うだろう 】
・学校には病人が絶えなかった。時に救急車で運ぶ事もあった。中高年の訓練生には持病はつき物であり、事前に報告頂く事になっているが、派遣責任者が知らないケースがあった。20人、30人の時はまだしも訓練生が300人、400人となってくると、病気の管理は重大なテーマとなった。持病には死に至る病もある。脳卒中、心臓発作、高血圧、蜘蛛膜下。そして学校には危険がいっぱいある事に気が付いた。夜間行進があり、転倒もある。火災だって…。
・もしも重大事故が続いたら、マスコミは学校に疑惑の目を向け、そのように扱うであろう。環境の激変で夜眠れず、一時的に心のバランスを崩す人がいる。彼がもし班友に人身事故を起こし、これがマスコミに流れたら、学校は即座に8割の訓練生を失うだろう。そして私には400人の社員がいる…。気が付いたら、私が作った会社は日本で最も潰れやすい会社だったのだ。しかも、もし会社が潰れたら、機械なら二束三文で売り払う事ができるが、99%の400人の社員はそんな訳にはいかない。『地獄』のネーミングは失敗だったと気がついた。しかし、あれなくしてこのドラマは生まれなかったが…。

・私たちは健康管理に全力をあげた。まず持病を持つ人の入校を制限した。夏期には午前10時から午後4時までは野外訓練は禁止した。早寝、早起き、昨夜の睡眠状況をチェックした。昼には30分の睡眠訓練を行った。医師による二度の健康診断を実施した。血圧の高い人は毎日検査した。冬はうがいと石鹸手洗を徹底した…。(この項、続く)

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