第198回 『 目標と失敗の関係 』 データの効能 3

  • 2006/05/02(火) 15:00:00

・各企業において、個人の年間目標を設定する一般的な方法は「自己申告制」である。しかし、この制度にはいくつか欠陥があり、目標設定を誤り易い。
・第一に、人には個性があり、積極的な人間と慎重な人間とでは、申告する数字に大きな高低差が生じる。自己申告制は部員の意見を反映させるシステムなので、目標は自ずとバラバラになってしまう。第二に、部員の目標を作り、決めたのは部門長と部員のどちらなのかが不鮮明である。従って目標の責任の所在が曖昧になる。
・目標とは会社や部門が実現したい数字である。従って個人の目標を作り、決めるのはトップ及び部門長であり、責任でもある。 …以上が前号である。

【 目標はデータに基づく数式に従う 】
・私は個人目標の設定に 「自己申告制」 は使わない。研究を重ねればこの制度も有効であるかもしれないが、私には上記のような欠陥を解決する方策が思いつかない。
・平成15年8月 『目標コースが出来るまで』 で財部が述べたように、我々は部門別、個人別目標の設定方法で、過去5ヵ年のデータから自動的に公平な数値を導く方程式を発見した。方程式が数値を導くとは、誰が行っても結果に差は出ないということである。経営者や部門長は経験や勘で目標を決めるのではなく、あくまでデータに基づく数式に従って決める。目標に部下の意見は反映させない。反映させると数字の均衡が破れ、不公平になる。公平な目標を作る決め手は 「データ」 以外にはない。そのかわり、この数式と目標数値は全員に公表し、同意を得る。従って部門の目標を決める責任者は経営者であり、部員の目標は部門長の責任であることは明快である。
・この目標設定の方法の特長は、部員のモチベーションを高めるプラスよりも、不公平な目標でモチベーションを落とすマイナスを取り除いたことにある。我々は目標というものは絶対に不公平であってはならないと思う。不公平な目標は査定に使えない。部員は目標を信用しなくなり、やる気を無くす。

【 単純なデータが貴重な情報を教える 】
・我々は目標設定では部門別、個人別に過去5ヵ年のデータを使うが、商品別、客先別、経費の状況を掴む時には 「昨年比表」 を使う。昨年1年間の月別数値と今年の現在までの月別数値を並べ、さらに累計昨年比をその横に並べる。ただこれだけの単純なデータである。何だ、大した話しではないと思われるであろう。が、これらのデータから発見する問題は、重大なことがよくある。
・商品Aが前年度と比べ、売上が50%ダウンしていること。悪いと思っていた商品Bの売上が、いつの間にか下半期から前年度の売上を上回り始めたこと等、経営に欠かせない貴重な情報をこのような単純なデータが教えてくれる。
・単純といえば、部門別の15ヵ年表を作った。平成3年から17年までの1年毎の数字を部門別に並べただけのデータである。すると意外な実態が分かった。4年前から数字が伸びている好調なA部門がある。我々はこの部門は長年業績が比較的良いと思っていた。ところがA部門は、当社の業績が悪かった平成5年の数字と比べ、2年前の平成16年までは数字が下回っていた。逆に平成17年から数字を落としていた不調なB部門については、長年数字が物足りなく、悪いと我々は思っていた。ところがB部門は、平成5年の数字を昨年まで上回っていたのである。従ってA部門は、過去は悪く今年は良い。B部門は過去は良く今年は悪い。…が正しい評価であった。我々はデータの凄さ、奥深さを実感すると同時に、人間の記憶のいい加減さと、思い込みの恐ろしさを改めて痛感した。

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