第191回 『 目標と失敗の関係 』データの効能

  • 2006/01/24(火) 15:00:00

・しばらくすると春。桜咲く4月には幼稚園から大学まで新学期が始まる。企業にも新年度が始まり、各社で年間目標の設定をする。個人別、部門別、月別、年間目標…。

【 求心力と意欲 】
・そもそも目標は何の為に何が目的で作るのであろうか。会社には年間に売りたい数字、作りたい数字がある。この数字が出来ないと全ての計画が狂う。そこで各人各部に数字を割り振り、それぞれに責任を持ってもらうのである。目標とは会社経営、部門経営の要であり、ここに求心力が働けば全員が意欲を持って同じ方向に進むと、トップは期待する…。
・ここまでは綺麗な話だが、現実は厳しい。実績は目標を下廻り、会社は目標を達成出来ないことが多いのだ。その原因は何か。まず目標を達成出来ない部員が何人もいて、彼らが犯人である。次に部門目標を達成出来ない部門長達が第二の犯人となる。彼はまた、目標を達成出来ない配下の部員に責任がある。第三に会社の目標が達成出来なければ、トップの責任である。

【 古い経営の証明 】
・個人も部門も会社も目標が達成出来ない状況がずっと続いている。目標の目的である求心力と意欲は現場には跡形もない。すると、目標作りはとっくに止めてしまったのであろうか。いや、止めてはいない。新年度には目標は今も作られている。
・何故目標は今も作られるのか。そこには何か良い事でもあるのであろうか。いや、達成出来ない目標は誰にも不愉快なだけで良い事は何も無い。目標を止めないのは、会社や経営者の面目の為である。目標の無い会社は沢山あるが、それは古い体質の経営を続いている証明であり、不名誉そのものである。これが目標を止めない理由である。単に恰好をつける為にやっている。

【 神棚で埃をかぶる 】
・では目標は作るだけで使われる事はないのか。そう、普段は神棚で埃をかぶっているが、月に一回上級上司が会議に出席し、目標を手に営業マンを指導する。又、社長が部門長会に出席し、目標を元に部門の業績を査定し、時に叱咤するであろう。

・ところで目標は何故達成しないのか。三者の取組にはどんな欠陥があるのであろうか。社員が目標を達成できない原因は、数字と向き合う事が少ない為だ。目標を達成しなくても部門長はやかましく言わない。いや以前はやかましかった。この為に上下の関係が悪くなった。何年か経つうちに、部門長はだんだん態度が軟化し、目標を口にする事が少なくなった。社員は目標の数字すら忘れる事が多くなった。
・その背景には、初めはこれくらいやれそうだと思えても、目標を達成する事の難しさがあろう。気が付いたら月末が迫っている。数字を作るという事は自分をコントロールする事から始まる。そしてこれが最も難しい。(この項、続く)

第190回 『 生涯の財 』 9

  • 2006/01/10(火) 15:00:00

・26年前、管理者養成学校の開校に当たり、教育のテーマを選び出した。柱の一つはマネージメントの知識教育である。ただし、コミュニケーションの理論を知っても、話しが下手な人は本人のコミュニケーションは良くならないし、部下の指導も出来ない。こうして、話す能力のアップを二つ目の柱としなくてはならなかった。
・このような例は他にはないか。管理者は質問によって部下の行動を掴む、データを作り数字を分析する…。つまり、聞く、数字を使う等、5能力が教育の対象とすべきだと知った。
・能力教育は、知識を与えるより遥かに難しい。のみならず身体に覚えさすには長い期間を必要とする。このため私達は3カ月の期間を求めた。が、忙しい管理者には無理がある。よって研修は13日間とした…。 以上が前号。

【 当校の、話す能力への取り組み 】
・もし学校教育で 「話す」 という能力教育をするなら、高校、大学の学年で行うであろう。この教育を受けていない管理者の話す能力の低さは、想定の中にあった。ところが、管理者は 『話す基礎』 そのものが出来ていなかった。小さな声、弱い声、早口、とちり等の欠陥があり、ここを徹底的に叩かなくては話す能力は育ちようがないのだ。私たちは小、中学校レベルに降りて行き、発声訓練、素読訓練により声そのものを太く、力強いものに作り変えることから始めた。

・話す能力訓練では、スピーチの論理的な組み立て方の理論を指導する。ただし研修生はこんな理論は直ぐ忘れる。従ってしっかり覚えて頂かねばならない。次は1題7分間のスピーチ実習である。まずテーマについて各自スピーチを組み立てる。覚えて話す練習をする。実習には公式審査があり、審査員の前でスピーチして頂くことになる。審査員は厳しい。小さな声、とちり等はたちまち減点され不合格となる。1題目合格すれば、さらに2題、3題のスピーチと審査が待っている。こうして13日間を修了した多くの研修生が、話す力に自信をつけて帰社されている…。

【 ABC研修方式 】
・『聞く』 教育は、20問の徹底的な論争訓練の中で相手の意見を良く聞いて、次に反論することで養成してきた。ただし聞く能力の目覚しい養成方法が発見できず、充実度は「話す」と比べ、40%くらいであった。ところが平成17年、A氏のスピーチをB氏が良く聞く、聞いて改善する 『ABC研修』 方式を開発し、充実度は2倍となった。
・「数字を応用する」 教育は5年前、1泊2日「データ分析 『35例』 数値管理」セミナーを完成させた。が、テーマの壮大さに比べ、1泊2日ではあまりに 時間が短か過ぎる。そこで、1年通学後継者コースに 「データ」を組み入れ、主テーマとした。1年あるので 「数える」 能力のオン・ザ・ジョブ教育は本格的に行なっている。
・文章を 「書く」 教育は報告書作成で一応指導をしてはいるが、時間の制約があり、無いに等しい。本を 「読む」 教育は13日間合宿では無理なので、最初からやっていない。つまり、5能力のうち当校で責任を持って指導しているのは、 『話す』 と 『聞く』 能力のみである。また、数字を 「扱う」 能力は後継者コースのみである。

【 管理者が失敗する本当の原因 】
・研修を通じて分かってきたことは、管理者は5能力に欠陥を抱え、しかもその深刻さを認識していない事である。企業トップは、管理者が運営に失敗する原因をマネージメントの知識や経験の不足にあると捉えている。そして管理者を1日か2日のセミナーに派遣してマネージメントの知識を勉強させるが、成果は得られない。なぜなら知る事と出来る事は違うのだ。知った事を出来るようにするには訓練を必要とする。5能力の訓練こそマネージメントを成立させる土台である。話す事と聞く事の出来る人は行動力を身につける。そして行動力は生涯の財の一つであろう。

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