第189回 『 生涯の財 』 8
- 2005/12/20(火) 15:00:00
・百数十年間、学校は話す、聞く、書く等の能力教育は教師が教えられないとして一切行わず、教え易い知識教育を続けてきた。教育期間の延びに対し、教える知識の量を2倍3倍に増やし、高度化した。実社会では小学校の高学年程度の算数で間に合い、高度な数学は役に立たない。話す能力等5能力こそ社会で役に立つのだが、肝心の教師がこれを苦手としている。
・学校は今直ぐ知識教育主義を改めて、能力教育に切り替えるべきである。それには教師自身の話す能力の開発から取り組むべきである…。
・26年前、当社は管理者養成学校を設立し、研修をスタートさせた。学校は小・中学生の子供達が対象だが、当校は管理者やビジネスマンが対象である。前述のように学校は能力教育は行わず、知識教育を肥大化させた。では管理者の教育とはいかなる教育であるべきか…。
【 管理者にどんな教育が必要か 】
・管理者を対象とする教育では、マネージメントの知識を指導するのは当然である。ただし、コミュニケーションの重要性を教えても、意志の伝達は少しも良くならないだろう。なぜなら管理者の話す能力が低ければ、知識は実際には役に立たない。本当に効果を狙うなら話す能力そのものを高めねばならない。このような例は他にないか。それには管理者は日常何をしているかを考えればいい。
・彼らは部下に方針を説明し理解させる、質問によって部下の行動を把握する、データを作り数字を分析する、報告書や企画書を作る、新聞や専門誌を読む。…つまり話す、聞く、数字を使う、書く、読むの5能力が管理行動の中心となっている。いずれも学校が14年間無視してきた能力であり、この為多くの管理者が苦手としていた。マネージメント理論を知るだけでなく、5能力を高めなくては成果は表れない。例えば話す能力はリーダーシップの発揮に直結している。よって私たちは管理者に必要なのは知識と能力教育であり、これを当校の主要なテーマとした。
【 平凡な話し手を説得力ある人に変える 】
・ところで能力教育とはどれほど難しいのであろうか。知識教育に比べて明らかに難しい。平凡な話し手を説得力のある人に変えるには、いくつかの技術とノーハウを必要とし、このノーハウの開発が難しい。しかし問題なのは、能力教育では体に覚え込まさねばならない点だ。野球の練習と同じで、正しい動作を数十回反復して体に覚えさせ、次に進む。つまり能力教育は時間がかかり過ぎるのだ。こういう基本の能力は、ある程度までは学校教育でやるべきだと声を大にして叫びたい…。
・当校の研修が13日間合宿とある点にご注意頂きたい。ビジネスマン研修は普通2日間から3日間が一般的だ。知識教育はそれでいい。出来るようにする能力教育では最低でも3ヶ月は欲しい。企業は忙しい管理者を3ヶ月も学校に派遣する事はできない。私たちは3ヶ月を諦めて13日間とした。13日間という日数は経営トップと私たちとのギリギリの妥協点であった。こうして知識と能力の教育が始まって26年、改善を重ねて今、一定の成果はあげたと思う。これで良いと私たちは満足しているわけではない。しかし、基礎コースだけでご派遣の研修生は73,800人 (17年12月19日) に達した…。(この項、続く)
第188回 『 生涯の財 』 7
- 2005/12/06(火) 15:00:00
・前号までに、今、学校は知識教育が中心だが、これが実社会で役に立たない。話す、話を聞く、本を読む、数字を応用する、文章を書く、このような能力こそ社会で役に立つのに学校では教えられない。理由は能力教育は多くの教師が苦手とし、知識教育なら何とかなると考えたらしい。
・知識教育はいつ、何故採用されたのか。それは明治初めの頃であり、当時、義務教育はわずか4年で、子供たちは社会に出たのだ。そこには知識教育しか道はなかったのだ。以来130年、高学歴化は進み、今や教育期間が14年と3.5倍に増えている。これだけの期間があれば能力教育でも何でも出来る。ところが学校はやり方を何も変えず、教える知識量を2倍3倍に増やし、高度化した…。
【 学習塾の戦い 】
・学校は今直ぐ知識教育主義を改めて、社会で役立つ能力教育に切り換えるべきである。たしかに能力教育は難しい。しかしやりようはある。どのようにやるかは、学習塾の例が参考になるであろう。
・昭和60年代、塾や予備校は競争が激化していた。塾は有名校の合格者数をアピールし、予備校には年収数千万を稼ぐスター先生が生まれた。平成の時代に入ると少子化の波が学習塾を襲う。
・塾生を失うも増やすも、塾教師次第である。公立校は知識教育なら何とかなると考えたが、教育の主導権は学校教師から塾教師に移っていった。一部の塾経営者は生き残りをかけ、教師の能力開発に取り組んでいった。具体的には学力を高め、教え方の巧拙を問うた。中には発声練習で声量を豊かにし、言語を明瞭にした。 …話す、表現する能力の土台となる能力教育であった。
・改善についていけない先生は脱落していった。20年を経た現在、「塾の先生は教え方が上手い、学校の先生は下手が定着した。今や学校の授業を信用しない親や子供が増えつつある。
【 塾教師に追いつめられた 】
・学校は、話す能力、聞く能力、書く能力、これ等は教師の生命線であるはずだ。これ等をまず自分が身につけ、子供達に教えるべきだ。2年ではできないが、10年あればできるはずだ。やれば20年後には話し方のレベルアップが浸透する。この間脱落する教師が出てもやむを得まい。塾と同じに生き残りをかけ新テーマに取り組むべきだ。能力教育への転換は簡単にはいかない。しかし話す能力の開発は教師のつとめである。
【 当社の基本能力への取り組み 】
・26年前、当社は管理者養成学校を設立し、研修をスタートさせた。対象となる管理者の教育とはいかにあるべきか、その枠組みを定めた。マネージメントの知識教育は主要なテーマだ。そして当然、能力教育を取り入れた。では管理者に必要な能力とは…?
・リーダーは無意識のうちに話す、聞く、読む、数字を使う、書くの5つの能力を使って管理行動を行っている。まさに社会に出て役に立つ能力と重なっている。学校が14年間、ついに無視してきたテーマである。従って多くの管理者がこれまで苦手としていた能力である。しかしこれが無くて、リーダーシップは存在しない。
・まず話す能力、リーダーシップの発揮に直結するこの能力、それが本当に開発できるであろうか? 僅か13日間という時間的制約の中で…。(この項、続く)
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