第182回 『 生涯の財 』

  • 2005/09/13(火) 14:53:00

・“漢字、英語、算数から昆虫、京都、地図まで…。 大人の検定受験ブームを背景に、さまざまな検定試験にチャレンジする小学生が急増している。平成16年度、日本漢字能力検定(漢検)を受験した小学生は、約25万人(全220万人)で、4年前の2.5倍に増えた。「授業では得られない達成感や成功体験が、子供のやる気や学習意欲の向上につながる(一部抜粋)」と学校ぐるみで取り組む動きも活性化している” 先日、産経新聞で目にした記事である。

【 自らをモチベート 】
・このような動きが活発になっている背景には何があるのか。テレビ、ケータイ世代の漢字離れが原因であろうか、批判の声がある 「ゆとり教育」 の弊害に対する自衛か。今、子供の学力低下が現実のものとなり、これに対し有効な教育方法が見つかっていない。…このような不安が人々を動かしているのではないか。
・期末試験の受動性に比べ、検定試験は生徒の積極性に基礎を置く。それが子供の学習意欲の向上につながるとしたら、結構なことである。いや、事は小さくとも、画期的なことかもしれない。医学も科学も金融も農業でさえ、各分野で技術は日々進歩し、その成果を世に問うている。しかるに学校教育界からはこの30年間、ほとんど何の報告もない。知的レベルの高い数十万人の教育者はこの期間、眠り続けている。この小さな成功をテコにして、教育という本業の分野でも改革を期待したい。

【 万人に役立つ学習テーマ 】
・学校教育は高校まで12年、短大は14年、大学までは16年という長期にわたる。こうして教育された身をひっさげて世にでるのだが、受けた教育が実社会でほとんど役に立たない現実に呆然とする。医学、工学、建築など少数の専門・技術教育を除いては、99%の人々には役に立っていない。確かに新聞は楽に読めるが、それなら中学を卒業すれば充分であろう。

・学校教育者は私の不平に何と答えるであろう。世の中には数万種類の職業があり、数万の講座は準備できない。確かにその通りだ。しかし私が求めているのは数万の講座ではなくヒトケタの講座である。一つの講座で万人に役立つ学習テーマなど存在しないと言うのであろうか。そんなことはない。例えば英語はまぎれもなく万人に役立つ学習テーマである。こういうものをいくつか探せばよい。英語について一言述べれば、大学までの10年学んで、99%の人々は話すことも聞くことも出来ない。グローバル化の時代というのに、こんなことを60年間も続けている…。 何という停滞した業界であろう。

【 学校で忘れられた話す能力 】
・万人の役に立つ学習テーマは英語だけではない。教育界は思考を停止しているから考えが及ばないが、こういうテーマは1ダースはある。例えば「話す」能力、これは学校教育ではほとんど忘れられている。ところが社会、特に会社では話す能力は極めて重要で、物事の説明能力は随所で求められている。
・この能力に恵まれている人は、たとえば管理職への道が開かれている。反面、話力に恵まれない人への評価は低く、損が生涯ついてまわる。話す能力は重要なだけでなく貴重でもある。つまり多くの人がこれを苦手としているのだ。学校教育では知識の詰込主義を取り、大事な能力開発はきれいにカットされている。本来、逆であるべきなのに、何という安易さ。(この項、続く)

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