第179回 『 考える癖、選択の幅 』 3

  • 2005/08/02(火) 15:00:00

1.頭の固さとは脳の硬軟さだけでなく、だしぬけに示されるトップの新方針に警戒しながら反応するマイナス行動であり、誰でも時に行う行為である。
2.トップの新方針に対し管理者は忠実に実行する者と正面から反発する者があり、比率は9:1であろう。ただし忠実派にいる面従腹背型を入れ替えれば、比率は拮抗する。
3.この腹背型を除く5割の忠実型の管理者にも3つのタイプがあり、第1は新方針に共鳴しても実行の困難さ、リーダーシップの欠如、部下に習得させる難しさで、方針を立ち消えにしてしまうタイプである。
4.第2のタイプは部下の反対が強いと知ると、いつの間にか寝返っているタイプである。
5.管理者、トップ、部下の三者の意見が違う場合、管理者が三者のいずれかの意見を選択している。そして通常、彼がよく選んでいる者が部門の支配者である。

【 忠実型の3つのタイプ 】
・前号で私は上のような記述を行った。忠実型とされる5割の管理者には更に分析を加え、トップの方針の立ち消え型、考えを変える寝返り型とあった。
・さて、3つ目のタイプである。彼は、部下との軋轢や確執を重ねながらも、最後までトップの方針を貫こうとする管理者である。これは、トップの方針に共鳴し納得しているからであろう。または、信念と勇気を持って部下を指導しているからである。だが、このタイプの管理者は極めて少数と言わざるを得ない。 …例えば1割。

【 支配者は部下 】
・会社という組織の中で、管理者は、いや彼が預る部門は一体誰に支配されているのだろうか。部門に関係する人はトップと管理者と部下である。この中で、部門を最も支配しているのは誰なのだろう。
・通常、部門の支配者は管理者である。ただしここには制約があり、トップの示す方針に則ること、目標を設定し、トップの承認を得ること、必要な時はトップの命令を受けることなどがある。両者の関係からみて、支配するという点では支配者はトップであろう。
・上記の3タイプを見てくると、トップの方針が部門の経営に生かされている部門がいかに少ないかが分かる。管理者が自らの意見を優先する自立派も1割と少ない。つまり、部門の支配者は意外なことに部下なのだ。理由は三者の意見が分かれると、管理者が部下の意見を選択することが多い為である。

【 強い風もいつか吹きやむ 】
・トップの方針を無視することは部下との軋轢以上に危険は大きい。事実、管理者が指示を無視していると知ると、トップは荒い言葉で厳しく叱責するに違いない。この間、多くの管理者は叱責にじっと耐えている。亀のように首をすくめて…。
・しかし強い風もいつか吹きやむ。風が一旦吹きやめば次に吹くまで、5日か10日はかかるだろう。トップはふつう10人前後の部門長を管理している。一人の部門長は5人、10人の部下を管理している。そして部門長はそれぞれが問題をかかえており、トップはこれらをチェックしなければならない。つまり、厳しさは部下との軋轢の方がトップとのそれよりはるかに大きいのだ。管理者は以上の事を体験的に知っているのだ。
・次にトップがやって来る時、運が良ければ問題を忘れているかもしれない。トップが根気を失って、問題の先送りを決めていることもあろう。
・なおトップが他部門を兼任せず、一つの部門の専任という事がある。この場合はトップが職場に常駐していれば、また業務を指揮していれば、部課長ではなくこのトップが部門長ということになる。

・以上が問題が解決されない理由である。問題は次々に生まれてくるというのに、改善の歩みはあまりに遅い。一つ一つの部門が良くならなければ、会社は良くなる事はない。こうして多くの企業が業績不振に苦しんでいる。(この項、続く)

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