第178回 『 考える癖、選択の幅 』 2

  • 2005/07/19(火) 15:00:00

・頭が固いといわれる人は、そもそも自分がやっていることが正しいと思っている。いや、人はだれだってそのように思っているのだ…、 初心者や自信に不足している一部の人を除いては。そのため、トップや上司から新しい考え方を示されると、本能的に警戒する心理が働くのが自然である。そして頭の固さがもたらす行動をとってしまう。 …そうなのだ。頭の固さとは脳の硬軟さなどでなく、思わず選択している( 頭の固い )行動そのものなのだ。

【 従順な者、反発する者 】
・トップや上級上司に、今までのやり方とは異なる新しい方法に切りかえようと言われたとする。管理者はこれにどのように反応をするだろうか。まず1つのタイプはトップの指示に従い、忠実に実行しようとする者である。もう1つのタイプはトップの指導に正面から反発し、トップの指示どおり実行しない者である。管理者はどちらのタイプが多いのだろうか。おそらく比率は8:2で、従順型の方が反発型より多いに違いない。しかし正面からトップに反発しなくとも、反対を隠してひそかに指示を葬り去る面従腹背型も多い。彼らを加えれば、比率は6:4またはそれ以上になるだろう。
・部門には管理者の考えがありトップの考えがあり、更に部下の考えがある。トップの考えとは、命令もしくはそれに近い性質を持っている。この三者の考えが錯綜する中で管理者は判断を下している。いや、グループの統一した行動方式を選択しているのである。この三者の考えが一致する事はあまりないであろうから、彼は正に板ばさみの毎日である。

【 リーダーシップの欠如 】
・従順型の管理者…、 この言葉で一つに括られるほど彼らは単純ではなく、そこには更に3つのグループが存在している。第1のタイプはトップの方針を実行するが、次第にトーンダウンし新方式を立ち消えにしてしまう管理者である。トップの指示や提案に共鳴していても、新しい方式への切りかえとは右にある物を左に置き換えるようには簡単ではない。実行力に欠ける者は、わずかな困難にたじろぎ壁を前にたじろいでいる。もしくはリーダーシップを発揮して部下の総力を結集するどころか、まともに協力を得ていない。その努力も無い。
・新方式にふさわしい新行動を部下に習得させるには、かなりの困難を伴うであろう。部下に強い反対があれば、彼らとの摩擦や衝突から逃げているからである。このタイプの管理者は、部下の主張に反論も説得もしていないケースが多い。理由は主としてリーダーシップの欠如の故だ。主張も反論もやりたくても彼らには出来ないことのようだ。管理者とは名ばかりの怠惰で臆病な人たちよ。

【 部門の支配者 】
・第2のタイプは、はじめ上級上司やトップに共鳴していても、部下の反対が強いと考えを変えて部下の側に寝返るタイプである。上級上司やトップの方針に従うべきは組織の基本である。そしてこれなくして組織は活性を失ってしまう。トップの指揮命令権は正当なものとして法によってもみとめられている。
・自分とトップと部下と三者の意見が違う場合、管理者は誰の意見に従っているだろうか。部門を預る管理者が重要な意思決定の場で選ぶ者が、彼の、いや部門の支配者である。トップか、自分か、部下達か…。
・管理者が自分の意見を採用する事が多ければ、彼は誇り高い自立派である。トップの意向を無視するのは問題だが、自立心に富むことはリーダーとして美質である。ただし彼の判断がほかの二者より優れているなら…。 そうでなければ、彼は単に頭の固い頑固者にすぎない。

第177回 『 考える癖、選択の幅 』

  • 2005/07/05(火) 15:00:00

・最近、私は当社のある部門の社員達に、2つ3つ新しい提案を行った。予想はしていたが、部門のほぼ全員から陰陽さまざまな形の反対に会った。すったもんだの末、幸いその案は実行に移されることになった。
・実際に導入してみると、新しい方式はそれなりに偉力を発揮し、仕事は手応えあるものに改善されていった。我々はメンバー一人一人に聞き取り調査をしたが、中にベテラン社員の一人から 「 実際にやってみて、提案がこんなにうまく行くとは思っていなかった。いつの間にか私は頭が固くなっていたようだ…。 」 という述懐があった。

【 頭が固い 】
・ビジネスマンにとって、頭が固いということは何を意味するか…。頭が固いと人にいわれるのは誰にも愉快ではないが、ビジネスマンには少し深刻である。彼等の業務は判断を下すことである。良い判断は頭の柔軟さによって生まれ、それを阻むのは頭の固さにある。つまり頭が柔軟であれば正しい道を発見し、固ければ判断を誤ることが多い。判断を誤ることが多くては指示を出すより受ける側の人である。彼らは専門職としてはやっていけても、部下を持つ仕事などビジネスマンとしての活躍の場は大幅に制約される。

・そもそも、頭が固いというのはどういうことか。それは頭の悪さや理解力に劣ることを意味しない。頭の良い人にも頭の固い人はたくさんいる。つまり見分けがつき難い。特に本人には…。ただし頭が良くて頭の固い人は、周囲にとって扱い難い存在であることは間違いない。

【 変化を嫌う保守主義者 】
・頭が固いとされる人は彼のビジネスについて他人にアドバイスを受けても、彼は固定観念によってこれを軽視するか反発するだろう。
・すると固定観念とは何だろうか。この言葉の定義は手に余るが、要するに人はそれぞれ固有の生き方、価値観がある。多くの人の観念は普遍性を持ち、かつ誤りや時代に合わない観念は自ら修正している。その中で普遍性に乏しく、その観念を固く信じ、容易に修正しない人もいるのだ。彼らは変化を嫌い、これまでのやり方に愛着を持ち、それを守ろうとする保守主義者…。
・このような保守的な人だけでなく、心ならずも頭が固いとされる行動を取る人もいる。当然、反省もある。そしてこういう人が多いだろう。この人たちは変化を嫌う伝統主義者ではない。彼らは物事には別のやり方があり、今のやり方は選択肢の一つでしかないことに気がついていない。従って効果を求めるなら別のやり方を試してみることも、時に、もしくは常に必要なのだ。

・頭が固いとは結局何か。それは彼らがイメージする解決策に選択の幅や、その数が少ないということである。問題は発想と選択である。現状の中に隠れた問題点を見付け出し、今のやり方を変える発想を模索する。その数を増やす。それは考える癖であり、この癖は良い癖といえる。価値もある。
・しかし、人は保守的だからこれまでのやり方を否定したり、新しい考え方を示されると本能的に警戒する心理が働く。これも考える癖とするなら、悪い癖というべきか…。ともあれ発想が二つの者は発想が四つの者に敗れる。選択肢が四つある者は二つしかない者に勝つ。(この項、続く)

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