第166回 『 指導者への道 』 2
- 2005/01/25(火) 15:50:00
・若者の中には20代初めから頭角を表す人もいるが、多くの場合は30代前半まで待たねばならない。この時期になると仕事に習熟し、言動に自信が見えてくる。あるいは何人かの部下を持ち、管理の何たるかが分かり始める。責任ある仕事を任され、頭角を表してくる。それは30代に始まりその後ぐんぐん加速する。数は多くはないが、少数のこの人達はまぎれもなく指導者への道を辿り始める。
【 努力の質量 】
・問題は彼らは何ゆえに抬頭するのだろうか。それは持って生まれた才能や素質のゆえであろうか。多くの場合原因は才能や素質にあるのではなく、彼らの努力の質量にある。朝は9時から夜は9時10時まで事務所で頑張る人がいる。土曜日には仕事を家に持ち帰る人もいる。量派である。寝ている時も覚めてる時も仕事について考え抜く…。枕元にはメモと鉛筆、こちらは質派だ。いずれも求めるものを追求する粘着力、自分を管理する強い意志を持つ。
・趣味やレジャー、家庭を犠牲にして仕事に全てを捧げる。このような人生は灰色なのだろうか。いや、仕事の醍醐味を知る人にとって、それは傍から見るほど苦しくはない。それは麻雀やゴルフ等よりはるかに面白い人生最高のゲームである。燃えるような情熱で心が充たされている。でなくて、どうして全てを仕事に捧げる事ができるだろう。
【 仕事は頭脳を最高度に必要とする 】
・仕事の楽しさの一つはそれが頭脳というものを最高度に必要とするからである。仕事にはむろん肉体労働もあり単純作業もある。しかしこの種の仕事は減少を続けており、その数は今ではとるに足らない。又、これらの作業も頭脳を必要とし、これを活用すれば生産性はあがる。しかし高度に複雑化した一般の仕事に比べ、その変化率は大きいとは言えない。今日、頭脳を有効に活用しなくては仕事は決して成功しない。
・いや頭脳だけでなく性格、人間関係、計画性、耐久性、経験、その他人が持つ全人格を動員している…。頭がいいだけでは限界があるのだ。それだけにゲームに勝てば達成感は最高のものとなる。それはこの上ない名誉でもある。勝利に伴う賞品も、たいてい魅力に富んでいる。このように、人を仕事に向かわせる動機付けも豊富に存在する。
【 改善という行程 】
・人が成長するのは第一に彼の才能ではなく、仕事にかける質、量であった。第二に高度の頭脳と全人格の動員による成果によるものであった。ここからは人が抬頭する第三の理由である。
・いかなる人も始めから質の良い仕事をできるわけではない。誰でも始めは似たようなものなのだ。そして何事も、優れた存在は改善と言う行程を必要とする。成長する人は自分のやり方を改善し向上させている。そして改善のやり方は誰でもだいたい決まっている。まず自らの今日の仕事を振り返る。その業績を査定する。問題点、自分の弱点を探る。その対策、解決法を考える…。仕事の進め方は正しかったか。間違っていたとしたらそれはどこか。どうしてそうなったのか。それなら明日は別の方法で進めよう。といった具合である。
・利口な人は人に聞く。私のやり方の問題は何だろう。たいていの人は喜んで教えてくれる。間違った指摘もあるが正しい指摘だってある。その中から正しいと思われるものを取り入れたらいい。これだけのことで仕事は変わり能力は伸びる。しかしこれだけの事が、人はなかなかできないでいる。才能ある人ほど、他人に欠点を指摘されることは許せないのだ。(この項続く)
第165回 『 指導者への道 』 1
- 2005/01/11(火) 15:00:00
・人が頭角を表し、本物の指導者として成長していくための条件があるとしたら、それは何だろうか。この為、若者は組織でいかなる体験を重ねる必要があるのか。そこには一つの道筋があるように私は思う。
・人々は20歳前後で社会に出て、横一線に並んで一斉に走り出す。頭脳に恵まれ、体力に恵まれ、一流の教育を受けた人もいればその反対の人もいる。その差は月とスッポンほどの隔たりだが、人生は短距離レースではなく、4、50年の長距離レースである。しかも戦いは気力、集中力、直感力等、あらゆる能力を動員する。従ってこの程度のハンデは殆んどとるにたらない。
・人生という戦場にはこの場を支配する戦場の掟、システム、価値観がある。若者はその社会の中で悪戦苦闘を繰り返す。会社組織、上司に反発し、仕事で挫折を味わい、規律の壁にぶつかり、人間関係に迷う。戦場の掟を素早く自分のものにする者もいる。それを嫌悪し反発し転職していく者もいる。しかし、まだまだ勝負はこれからである。20歳から25歳くらいまでのこの期間を私は 「彷徨の時代」 と名付けよう。
【 彷徨の時代 】
・では彷徨の時代に重要なことは何か。私は三つあると考えている。第一に戦場の掟というものが何かを、できるだけ正しく理解しておくこと。つまり実社会では何が大事で何が大事でないか、何を好み何を嫌うかを、学び知ることである。
・第二につらい仕事を避けるのではなく自ら率先して経験すること。ラクな仕事、やさしい仕事、格好良い仕事は、仕事そのものが内在する厳しさを教えてはくれない。これは将来を望む人にとって貴重な時間の浪費であり、不幸なことである。たとえばセールス、ここでは仕事に叩きつけられる己の弱さをまざまざと見るだろう。そしてこの壁を乗り越えていくなら、それは貴重な経験となろう。
・そして第三は人間関係を充分に理解しておくことだ。人生において我々が相手にするのは人、人、人である。いかに仕事の能力に秀れていても、人間関係が築けなければ途中でつまずき、伸びようとする芽もつまれてしまう。人の上に立ち、指揮を取る者の仕事の半分以上が、人との関わり合いである。つまりこの期間に、上司、先輩、他部門と良い人間関係をつくる事はこの上ないトレーニングとなる。
【 自覚・躍動期 】
・彷徨期に続く第二の期間、25、6歳から30歳までを自覚・躍動期としよう。私はこの5年間が、人生にとって最も重要な時期だと考えている。すなわちこの時期を充実させられる人は大きく伸びる可能性を持ち、この時期を無為に過せば、成長することは難しい。25、6歳を過ぎる頃から後輩も増え、職場での立場も変わる。ぼつぼつ管理職への道も近づき、この頃から仕事に対する態度も真剣味を増す。
・世の多くの人が見誤るのだが、出世というものはやはりその人の実力と裏腹の関係にある。日本は年功序列だから実力がなくて出世する人も多いが、こういう厳しい時代ではリーダーとして長続きしない。人の上に立つには実力こそ最も頼れる武器である。そしてこの実力が本当に身についてくるのは、25歳から30歳までの5年間である。
・では、この期間に必要なことは何か。 1.仕事そのものが厳しい事、あるいは会社や自ら課した目標が達成困難である事。2.与えられている仕事に意欲的である事。3.生活態度が仕事最優先である事。4.一日10時間、もしくはそれ以上仕事に打ち込み得る事。5.結果として、業績を残し得る事。以上の5点が最低限必要となる。(この項続く)
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