第162回 『 人が学習する時 』 5

  • 2004/11/30(火) 15:00:00

・社会に出て身を立て、成功の道を切り拓くためには、何を身に付ける必要があるか。1つは知識量を増やす事、もう1つは人の心が分かる事であった。その他に有効な武器として一つあげるとすればそれは何か。それは問題を発見し解決していく能力であると思う。

【 気力を挫き、勇気を奪い去る 】
・私達の身辺には大小様々な問題がある。のみならず新たな問題が発生してくる。解決しなければ問題というものは人の成長を阻む。悪化する可能性も高い。そして何より問題は人を苦しめ悩ませる。人の気力を挫き、勇気を奪い去る。従って問題は早く解決せねばならない。
・人は沢山問題を身につけている。遅刻が多く職を転々とする者。不摂生で健康を害している者。ギャンブルに溺れる者。あるいは借金に苦しむ者…。 酒、ギャンブル、出費、罠はあちこちに仕掛けられていて、油断しているとあっという間に罠に落ちる。子供の教育、妻との不仲、小さい問題だって重なればたまらない。

・問題の発生源は三つある。自分と家庭と仕事だ。それぞれが問題を発生させるが、中でも最大の発生源は自分であろう。問題に対する正しい対処法は一つ一つを日常、丁寧に解決しておくことである。その解決法とは問題の原因を追及し、問題の根幹をキレイに取り除く事だ。
・この三つの発生源のうち、どれが最も解決しやすいであろうか。それは自分であって家庭ではない。妻や子、あるいは親や兄弟の行動を変えさせるのは容易でないが、自分を変える方がよっぽど楽だ。仕事も同じ、難しい仕事はやさしく出来ない。あなたがやり方を改善したり、朝早く夜遅く働くようにしたら、仕事の難易度は下がるであろう。

【 努力と時間、考える技術とやる気 】
・ところで問題はどうすれば解決するか。多くの人は問題というものは解決できないと初めから諦めている。しかし諦めるのが最も良くない。もし本気になって取り組めば、問題はたいてい解決できるのだ。
・問題解決に必要なものは努力と時間と考える技術とやる気である。四つの中で大切なのはやる気であろう。よし、解決しようという気力を持つことだ。では、そのやる気はどこから出てくるか。やる気は問題は必ず解決するという確信を持つ事だ。この確信は問題を解決した成功体験を持つことで生まれる。この体験が多ければ多いほど確信は強まり、困難に思える問題も解決できる。
・ではこのような体験が少なく、確信を持っていない人はどうすれば良いか。さあ問題です。考えてみてください。ここにはどんな対策がありますか。どうやれば解決できるでしょう。取り組んだら離すな、根性で頑張れ。これではうまくいかないでしょう。

・答えです。例の4項目を使います。まず 『努力』 …。ビギナーですからできる問題を選びます。あなたが暗い、元気がないと言われているとします。これを少しでも改善したい、という問題を選びます。できそうです。では対策は…? 『考える技術』 を使います。暗い、元気がないという印象を与える原因は何でしょう。声が小さい。話さない。笑いがない。挨拶がない。返事をしない。そして対策は…。 元気のいい返事をする…。 一日何回もするのは大変だろうな。そこで朝、元気に 「おはようございます」 と言おう。これなら一日一度です。対策が決まります。次は 『時間』 です。これを一週間続け、習慣としよう。この効果は…。皆、驚くだろうな。想像するだけで笑いがこぼれます。これで 『やる気』 も出ます。

第161回 『 人が学習する時 』 4

  • 2004/11/16(火) 15:30:00

・若者は20才前後で社会に出る。この地で彼は数十年にわたる人生を設計し、施工を始める事になる。彼は設計図を何度も書き直し、工事はそのたびやり直す。孤独で根気のいる作業…。良い図面、良い人生を得られるか、結果については全てが自己責任である。彼が人生を切り拓いて行くのに必要な道具は知識であった。むろん、これだけでは闘う武器が不足している。では、何をもって第二の武器とするか。

【 社会に仲間入りする条件 】
・社会に出る、と人々は言う。では社会とは何か、ここに何があるのか。社会とは人々が集まり、集団で生活をする場である。そこは人、人、人で一杯だ。日本という地域には1億3千万人が住み、岡山県倉敷市には44万人が住む。各地域には職業を同じくする人が集まって、農村、漁村を形成し、商う人が集まって商店街をつくる。また経営者が会社組織をつくり、ここに数十人から数千の人々が働いている。
・社会に出た若者がこの集団に仲間入りする条件は何か。人が集団で生活をするにはさまざまな商品やサービスを必要としている。衣食住に始まり教育、音楽、スポーツ、旅行。電気製品にテレビに映画…。人は様々な物やサービスを求めており、求めに応じてそれらを作り運び売る人が現れる。彼はこの作業によって収入を得、この収入で今度は彼が好む物を注文する側に廻る。
・社会で人々は持ちつ持たれつの関係にある。社会に入る条件はこの一翼を荷う事、人の役に立つよう働く事だ。人は自分の為に働いていると言うが、そういう人は孤島に生きるロビンソン・クルーソーくらいだ。我々は本当は人の為に働いているのかもしれない。

【 人の心が分かる事 】
・先に述べたが社会は人の集まりそのものである。故に社会で成功するには、人についてよく知っている事、人の心が分かることだ。相手が何を考え、何を求め、何を期待し、何を嫌うのか分かること。人々の関心は今、どこに何に向かっているのか。人を相手にするビジネスで、これは最大の武器となる。お客の心が分かる人は良い営業マンに、上司の心が分かる人は上司の信頼を得るだろう。社会には小説家、プロ野球の監督、医師、設計者など極めて専門的な知識と技術を要する職種がある。しかし彼らが人について無知なままで、役に立つ仕事が出来るであろうか。
・人の心がわかる人の特長は、常に人に関心を持っていること。自分から積極的に話しかけ、人の話をよく聞くよう努めていることにあるようだ。あるいは常に自分の心の動きを見つめる事である。自分に対し嘘をやめ、正直であれば、人間について十分の知識が得られよう。人間に対する理解が深まれば、いつか容易に人を動かしている自分を発見しよう。それはまぎれもなく、第二の武器である。

・それは上級訓練コースで起こった。職場の問題点で訓練生の一人、若い女性のS主任のケースに私は目をとめた。ある日の反省会で部下の一人が今日、自分は遅刻してしまったという発言があり、Sがこれを咎めた。これを聞いていた院長先生がS主任を呼んで注意した。「あなたのさっきの注意はしつこく、しかも言葉に棘があって無用に相手を傷つける…。」S主任は部下を注意するリーダーの正当な行為が、否定されたと不満を述べていた。
・私はこのケースを読みあげ、ここにどんな問題があるかを訓練生にたずねた。このケースの解を簡単に言えば、S主任も院長もその行為は共に正しかった。ただし反省会という場で告白した部下に対し、S主任はその正直さをほめるべきだった。それから遅刻のないように励ます。また有効な助言をすべきだった。院長にも問題があった。部下を叱ることのできない管理者が多い中で、S主任はきちっと叱る事の出来る人であり、この点を賞賛したい。それから叱り方の注意をすれば、すべてが生きたに違いない。
・セミナーの途中から、何か異変が起こっている事に私は気がついた。S主任は顔が俯き、やがてすすり泣く声が洩れはじめた。思いも寄らぬ事であった。その夜、私はSは何故泣いたのだろうと考え、解を得た。翌朝、私は再びセミナーに出かけていって「Sさんはきのう何故泣いたのでしょう」と訓練生に聞いた。色々意見が出るうちに私はしまったと思った。Sの顔が再び俯いたのだ。しかし途中でやめるわけにはいかない。機を見て私は解を述べた。「Sさんは、自分をよく理解してくれる説明を聞くことが出来たから、泣いたのでしょう」…声はすでに洩れていた。私は慌てて教室を出た。

第160回 『 人が学習する時 』 3

  • 2004/11/02(火) 14:30:00

・前号の太陽が西に沈むことを認識していない小学生27%…。この事例は人が学習することについて、我々に教訓を与えてくれる。一つは、人が持つ知識や技術が正しいものであれば、大抵誰かに教えられて知り得たということ。又学習して得た知識や技術は人が生きていく上で役に立つ。いや、これら数々の知識を土台にして人はその人生を戦っている。
・また人は知らない知識について誰かに聞かれたり、自分が使う必要が起こった場合、想像によって知らない事を認識しようとする。当然、想像だから大抵誤っており、一部が正しい。自分の想像が正しいか否か、後に確かめる人の数は少ない。このため誤った認識が修正されるチャンスはあまりない。また、苦手な分野に関することは、人は想像する事すら省略する。

【 故に誰でもその知識を増やしなさい 】
・20才代前半で社会に出る若者は、それまでに3000程度の知識を持っているとする。人によってその量は違うので多い人は4000、少ない人は2000位…。社会で仕事をするのに必要な知識の量は、これが必要最低限である。ただし、3000程度の知識では社会人として長く通用しない。故に誰でも、その知識を増やしておく必要がある。
・ビジネスマンの場合、10倍の 30000程度の知識を身に付け、指導的立場に立つことが期待されている。人々もまたこのルートを目指す。もちろん、これを実現できる人は多くない。しかし、少なくとも3倍5倍にしなくては、長く職場に留まれない。
・知識の量とは別に知識の質はどのようなものか、その良し悪しが問われる。質が良いとは知識が正確で鮮明に理解されている事を言い、質が悪いとは知識が不正確で曖昧に認識されている事だ。この二つがどんな違いを生ずるかというと、正しい知識に基づく前者は仕事に積極的に取り組み、その行動は適切だ。後者は曖昧な知識により行動が消極的になり、時にはミスを犯す。

【 知識の量を10倍に増やす 】
・知識の量3000を10倍に増やすにはどうするか。3000しか知識を持たない人は目の前には知らないことが広がっており、これらを覚えていくことは容易ではない。そして彼が知っていることといえば、所々に小さく点在しているのみ…。
・人は知らないことに直面すると「こういうことかな」と想像をめぐらせる。人の良き習性と言うべきであろう。そして時として「こうであろう」と判断する。当然この想像や判断は誤りや見当違いが多い。
・ただし、手持ちの3000の知識の質が良ければ、鮮明な知識の周辺の事柄なら、ある程度正しく類推できるようになる。ここで人は、新しい知識を一気にいくつも得ることが出来るようになる。こうして点在する知識が増えていくと、そのスピードは加速してくる。それは物事の仕組みが見えてくるからである。以上のような理由で手持ちの知識はなるべく正確、鮮明にするように心掛けたい。
・さらに類推の及ばない箇所について、これを知らないままにすることに我慢できなくなる。未知の事を自ずと知ろうとする意欲が増すのである。こうして新しい知識を得るチャンスが増える。知識が増えると人はその事柄に興味を持ち、知ることが喜びになっていく。これが3000の知識を2倍3倍にしていく確かな道だ。

ビジネスマンの知識学習−イ (この項、続く)

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