第155回 『 平成2年のバブル不況 』 9
- 2004/09/07(火) 15:30:00
・トップとして、私はいかに全社の売上を伸ばしていくか。私は戦闘集団を率いて先頭に立ち、叱咤激励するタイプのトップではない。また強力なパワーで社員を引っ張り、トップセールスで大口注文を得て手本をみせる指揮官ではない。参謀長のように正しい戦闘理論を作り、それをリーダーや部下に定着させる方式を用いるタイプである。
・参謀型をとるもう1つの理由は、私には営業に割く時間が無いということもあった。私はトップ兼研究員であり、困ったことに総社員250人中、研究員という特殊作業員は私一人であった。このため私は営業と訓練の現場作業はなるべく避け、研究室にこもった。
・営業部門に立ち入らなくても、外から眺めても気になる事は沢山あった。ただしこれらを正しく管理しようと思ったら、トップといえど片手間でやれる作業ではなかった。
【 返事は私を安心させたが、同時に噴き出した 】
・営業部門で私は様々なデータを集め、たくさんの問題を発見した。採集したデータから営業マンの非効率的な行動が散見された。正しい理論を模索し、修正し、データ主義、目標設定などの新しい理論を完成した。次に理論の定着を目指して部門長の教育を続けた。これが4つの新商品が完成するいきさつである。
・完成した新商品を市場に送り込んだ。当然私は売れることを期待したが、4つの新商品は当社を拡大トレンドに乗せる起爆剤になかなかならなかった。当社営業マンは新商品の売り込みになぜか意気地がなく、売り出しに時間がかかる癖があるのを忘れていた。
・最近、私はふと気になって聞いてみた。「旧商品のセミナーは、最近あまり売れてないのかしら」 旧商品はもう販売を停止しているのかも…。 その返事は私を安心させたが、同時に噴き出してしまった。
「いえ、いつも順調に満席になってますヨ」
【 現時点の最新のノウハウ 】
・平成14年末の役員会の席で売上は好転していないこと、また新4品が売れていないという報告があった。役員はそれぞれ失望を隠せなかった。役員の一人が次のように指摘した。「新4品は完成から約3年、ここには当社のエネルギーと資本を費消しています。ところで新商品の開発は、費用対効果の点で失敗だったのではありませんか?」これに対し私は次のように答えることができた。
「新4品には現時点の最新の経営ノウハウがこめられています。ここ数年のように先の見えない時代において、私はこの理論によって確信を持って会社を経営する事ができました。」
・旧製品だけで、あの厳しい時代を乗り切る事が出来ただろうか。私はバッターボックスで散々三振を食らったが、やがて自信を持って球スジを見極められるようになった。平成14年、売上げは前年比−5.7%、21.2億であった。15年1月の新年度を前に、大地は明るい予感を得ていた…。
- HOME |



