第145回 『 バブル崩壊と12年不況 』 17

  • 2004/06/22(火) 15:00:00

・営業は売れるか売れないかの世界であり、売れるならその数値が問われる。ここでの業績は個人差が大きく、人が1ヵ月という期間に費やした時間の量と成果の収穫は比例しない。こういう世界では結果が大切にされ、結果をもたらす経過についてはあまり研究されていない。

【 結果主義から経過主義へ 】
・しかし、よその世界では経過を大事に研究し、その結果として収穫をあげようというやり方が一般だ。プロ野球がその典型である。彼らは長い発展の歴史の中で各人思い思いの練習から、業績を高める行為を特定していく…。次にデータを集め練習量の質量を定める。こうして行うべき経過行動を定め、自らの練習メニューに従って自分をコントロールする。

・営業という仕事では、指導が本物でなくては人が育ち難い。しかし、新人の育成にきちっとした方針を持つ管理者は少ない。このためどこの会社でも、新人は自分のセールス行動を自分の手でプランニングしている。彼らは自分の行動を有効にする方法をもたないから、5年たったら僅か1割しか定着できず、9割が脱落するだろう。これでは採用、育成にコストがかかりすぎ、経営が成り立たない。管理者が本来の任務をキチッと果たさねばならない。10%の育成率を20%、または30%に引き上げる事だ…。

【 どこかで何かで60点の働きをしておく事 】
・プロ野球のコーチの誰かをつかまえて、新人はどのように育成するのか聞いてみる。モゴモゴと口ごもるコーチなど一人もいないだろう。彼らは手持ちのバッグを開けて、中を見せてくるかもしれない。そこには数十数百の育成プランがぎっしりつまっているに違いない。
・営業の管理者はこうはいかない。彼らは困惑し、戸惑い、長々しい話をする。しかし、いずれも中身に乏しい。
・そう言えばプロ野球と営業マンの新人には共通点がある。
イ. 一旦、出場するからには新人ですというエクスキューズは認められ
ない。レギュラーに比べ力量30点でも、どこかで何かで60点の
働きをしておく事が求められる。
ロ. なぜ60点レベルの仕事が部分的に必要かというと、その選手のプ
レーや営業マンの言動が、どこかでお客の心にアピールするものが
あるべきなのだ。一通りの演技はできても総合20点では平凡すぎ
て魅力がない。
ハ. 育成期間はせいぜい3年、長くて5年で適否を判断される。
ニ. 双方、仕事の中に学ぶべき事が無限にある。野球の走攻守の理論を
知りトレーニングで身に付けるには10年の歳月を必要とし、なお
足りない。商品説明からクロージングに至る営業力は、奥の深い人
間学でもある。

・野球は、特にプロ野球は専門職である。営業も専門職だ。専門職では学習し、身につけるべき知識、技術が多岐にわたる。したがって専門性を身に付け専門家になるには学習法が大切である。大切な事は、何でも学習しようとしないこと、自分が学習すべき分野をなるべく狭く限る事である。
・実社会では新人に総合力を求めてくる。新人は電話でアポイントを取り、訪問して商品説明をし、どこかでラポートを作り、反対を克服し、そしてクロージング。…学ぶべき技術は多く限りない。これらを三年、五年で学習する事は不可能である。学習分野を限ってしまえば、その技術はマスターできる。アポイントと商品説明の二つに限って、一年間追いかければ、その技術は侮れない。あれもこれもと手を付けるより、限られた時間とエネルギーは一点集中で使うべきだ。

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