第142回 『 バブル崩壊と12年不況 』 14
- 2004/06/01(火) 15:30:00
・当社の新人の育成は、みな5年かかったわけではない。2年で頭角を表す者もいたし、5年かかる者もいた。問題はこれを反省する声がなく、そのマイナスに気が付いてなかった。当社に、新人育成のしっかりした方針が確立していないことが原因だった。もっとも、こんな方針はどこの会社にもない。今思えば、私位はそれを作る義理を、社会に対して負っていたのだ。
・創業以来30年、私が一度も営業部門に立入らず、部門長たちに丸投げにしていた。地獄の訓錬とセールス特訓の二つのコースを持っていたが、それだけでは無理がありすぎたのだ。もっと手間、暇をかけなさいと、天は私にツケの支払いを求めて来た…。
【 トップの方針であり、ためらわず断行 】
・平成9年の夏以降、景気の落ち込みは厳しさを増していた。売上は昨年比を下廻り、私の取組みも真剣だった。10年、11年、12年と数字の下降が続いた。営業力の強化は焦眉のテーマであった。どこからどのように手を付けたら良いか。私が目をつけたのが育成期間であった。5年の長い期間は今後、許さない…。
・はじめに、業績のあがらない入社4年以上の社員に辞めて頂いた。この措置は役員会で他の役員の反発にあった。「現に年間1100万売っているのに、それを捨てることはない。また、補充をせずに解雇するのは手順が違う」しかし、これはトップの方針であり、私はためらわず断行した。現場でこの措置は順調に進み、空席ができると部門長は求人に真剣になった。すると新人が入社し、職場は自然に活性化した。
・我々の目的は低業績の人に辞めてもらうことではない。辞めることのないように育てることが目的だった。我々は3年以上の社員のチェックを強化した。私は早々に、2年生のチェックをすべきことに気がついた。10部門の2年、3年生の業績表が毎月手許に届けられた。どれも悲惨な数字が並んでいた…。
【 営業部門の現状 】
・営業部門の育成は今、各社でどのような現状にあるか。それはビジネスものの映画やテレビに描かれている。営業は課単位で運営され、5人〜10人で構成される。ここに配属される新人…。彼はまず一、二ヵ月かけて商品知識を勉強し、時々先輩について同行して現場を知る。営業のやり方は課長や先輩に教えられ、何かのセールス読本をすすめられたりする。こうして2、3ヵ月すると、いよいよ独立…。
・営業マンの仕事は、猟犬とハンターの二つの役割を持っている。一人前になるには彼は二つをマスターする必要がある。彼らは初めに見込客を探し出し、次に課長に頼らず独力で客を購入に導く技術を学ぶ。猟犬として新人は見込客を探して来る。見付け出せば、いずれ腕の良い課長が射とめるであろう。したがって課長は新人に言う。「誰か、私に同行して貫いたい者はいないか。いまなら行くぞぉ〜ッ。」 これが課長の第一の仕事である。
【 猟犬段階の指導が手抜きだ 】
・彼の第二の任務は、新人が探す見込客の質と量のチェックだ。この数が少なく質がよくないと、新人たちの仕事は安定しない。したがって見込客の発見につとめるよう新人を指導する。問題はその指導だ。
・探す技術と売る技術の習得はやさしくない。第一の技術は泥臭く苦痛を伴い、技術の習得がいい加減になる。おまけに教えにくく、教え難いことは教えないか、課長には教えることができない。そこで新人たちは何年も、事実上放置されている。仕事は一人で外に居て、細かい事は言われないから気楽かもしれない。しかし、猟犬段階の指導がどこの会社でも手抜きである。見込客の質量が不足すればシューティングの技術はあがらない。各社の新人育成は欠陥がある。この為ベテランになっても多くの者はその業績が安定しない。
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