第139回 『 バブル崩壊と12年不況 』 11
- 2004/05/11(火) 16:00:00
・台本に監督から疑問が出たことがある。「リーダーの部下育成」で社員に文章の素読、速読、早書きの練習シーンがあった。それらがオンザジョブ教育として行われる…。監督の疑問とはこれら一連の教育が、なぜ人材育成という大それたテーマにつながるのか…。質問は急所を衝き私は途惑った。それは第一に台本の弱点を衝き、第二に私の教育理論の脆弱性を問うていた。今ならきれいに説明できるが、その時は明快に答えられなかった。
【 何日かして、突如正解がひらめいた 】
・何日かして、私に突如正解がひらめいた。映像のエンディングで、人々は小さな勝利を互いに祝福する。これを観る人々の多くが感動の涙を流され、私は泣きっ放しとなった。私はビデオに次の文章をテロップで示しエンディングとした。
「『人材』とは優秀な人々の未来に有るのではなく、小さくても自分を変える事の出来る人の、日々の 『延長線』 上にある。」
・この文章により監督や関係者の納得は得られた。台本の弱点は残したが、これによって映像は救われたと思う。この文章は更に、人材育成のメカニズムを踏み込んで説明している。
・監督の疑問はなかなか鋭いものだった。あの疑問は誰が出したのだろう。たしかにそれは監督から出されたが、俳優のクレームが監督によって伝えられることはよくあることだった。あれはもしかしたら、江守徹のクレームだったかも…。
【 管理職にある人に何を教えているか 】
・あの文章、私の教育理論のエッセンスがここにある。管理者養成学校において、私たちは管理職にある人、これからなろうとする人達に何を教えているか。ここには人材とは何か、人材として大切な能力とは何かという問いと答えをもたねばならない。私はそれは5つあると考えた。読む能力(学習)、書く能力(考える)、数える能力(数値)、聞く能力(問題意識)、話す能力(コミュニケーション)である。これに管理職としての専門知識、技術研修が加わる。
・5つの基礎能力はいつの時代でも人を際立たせる能力である。これを強化する訓練…、こんな教育には、教える側は膨大な手間ヒマをかけねばならない。実技の指導は一人一人ができるようにせねばならない。
・例えば話す能力である。私たちは生徒にテーマを与え、7分間のスピーチにまとめてもらう。まずどなたも話の内容が薄く、7分間続かない。そこで話の組立て方を指導する。次にスピーチの荒筋を作りあげる。これを暗記し、暗記できればいよいよスピーチである。
・ところが、ここで新たな問題が発生する。皆さん、声が小さく、弱いのだ。そして話しが下手である。やむなく発声、素読、速読訓練が必要になる。声を鍛えればスピーチは形がついてくる。ころ合いを見て審査を受け、50点で合格である。こうして気の遠くなる膨大な訓練…。スピーチ研修は更に二つのテーマをヤラネバナラヌ。
・学校の訓錬は13日間で終了する。それは、人々の自分造りの人生の入口である。今後の方向を示すオリエンテーションである。映像の素読訓練は、当社の社員は毎日やっている。講演を行う当校の校長は、早口言葉をやっている。…私も。
- HOME |



