第136回 『 バブル崩壊と12年不況 』 8
- 2004/04/13(火) 15:10:00
・ビデオ 『リーダーの責任と責任感』 が90分のドラマとして完成した。会社では多数の人々が参加して物を作り、サービスを創り、他者に売る。この『つくる』活動に多額のエネルギーとコストが投入され、品質が創り出される。そしてこの品質が会社の売上と利益を創り出している。この品質に、部分的に責任を持つのが各部管理職だ。彼らひとりひとりの責任感の有様を描くことで、責任感というテーマの重さを、損なうことなく提供できたと思う。
・森川フーズ社の森川創業社長は老いた身を車椅子に託し、外科病棟に長期入院していた。この日、会社のユーザー、鷲尾商店の社長の葬儀が行われる。鷲尾とは戦時中、中国の戦場で共に戦った戦友であった。森川は心をこめて弔電を書き、気の合うリハビリ仲間、教育コンサルタント柏木仙蔵に会社への電話を託す。 「あア、ついでに鷲尾商店との最近の取引き、聞いて下さらんか」
・やがて、電話を了えて帰ってきた柏木は老社長にショッキングな報告をする。「鷲尾商店との取引は、現在、停止しているそうです。 …2年前より」 思いもかけない報告に森川は激しく動揺する。2年前、自分に知らされることなく取引停止。 …。会社にはいったい何が起こっているのか。
・車椅子にある森川社長は不安に焦る。情報を集め、事態を打開する気力体力は今の自分にはない。彼にはあらゆる手段が封じられていた。しかし、創業社長にギブアップはない。必死の森川社長はかすかな手がかりをつかんでいた。「 教育コンサルタント 」。彼はこの日退院していく柏木仙蔵にすべてを託した。それは老社長の最後の賭であった。
【 品質がそもそも悪いんじゃないんですか 】
・取引停止はなぜ起こったか。…ある日、柏木仙蔵はモリカワフーズ社工場の現場に立つ。そして丁寧に観察する。製造一課、資材課、技術課。彼の鋭い目がときどき留まる。そして反撃…。ある日、彼は製造一課長を野外に呼び出し、ずばり切り出す。
・柏木 「 … (うなずいて) 前に申し上げましたが、品質がそもそも悪いんじゃないんですか」 渡辺 「 業界最高とは言えませんが… 」 柏木 「悪いんですか」 渡辺 「いえ (強く) 中堅です 」 柏木 「 では、品質が最近落ちて来たのかも 」 渡辺 「そんなことは…、データもある。(手にしていたファイルを持ち上げて) 見せますか 」 柏木「どのメーカーも、少しくらいは良くなっていますよ」 渡辺 「 …(いぶかしそう) 」 柏木 「少しくらい良くなってもビリになってることもあります」 渡辺 「 (かっとなって) 少しぐらい…?! (自分をおさえて) 言いますね 」 柏木「品質が落ちれば、いいユーザーが落ちていきます」 渡辺 「 (激しさをおさえるように) 品質が低下していると言うんですか」 柏木 「 …(うなずく) 」 渡辺 「 そんな!何を根拠に…(激しく) 許さん!」 柏木 「 (静かに、ゆったり) 調べましたか? 」 渡辺 「 … 」 柏木 「 ちょっと調べればすぐに分かることですよ。これです。」
・このビデオは1セット12.8万円で販売され、平成4年12月から、平成5年の13ヶ月で2億円の売上げを計上した。期待した以上の売上げであり、引き潮ムードの続くなか、 「責任」 は小さな救世主となって当社の営業を元気づけた。スピーディな場面転回、推理劇風なタッチが好評の原因であった。私の創った柏木仙蔵は、冷静で論理的で実に格好良かった。
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