第118回 『 匿名の葉書 』 1
- 2003/12/02(火) 15:00:00
社員から自宅に葉書を頂いた。創業以来36年間で、これが2通目の匿名の葉書であった。忘れているのがあるかもしれないが、2通とは少ないように思う。匿名氏の著作権はたぶん保護されていないであろう。文面の一部は次のものである。ご不満があれば抗議して下さい。
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地方の英会話のデモセミ開始に間に合わず、デモセミ中止させた元本
部の係長に対し、何故処分されないか、我々が同じ失敗したら断罪さ
れる。9Fは身内のミスを隠す。
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上記文面の中で9階とはJR新宿駅南口駅前の賃貸ビルに当社の本社があり、8階は営業部門、9階が本部である。 『9階』 とは本部を指すちょっとした隠語らしい。
・英会話のデモセミとは当社の研修に英会話コースがあり、その特長は研修の全てが合宿形式で行われる事である。長期のコースは13日間、短期のコースは5日間。その中間に7日間コースがある。合宿英会話は昭和57年に始まり21年の歴史を持っている。管理者養成学校の独特の研修システムにより、明らかに効果をあげていた。
【 機関銃の相互乱射のように 】
・ただし、私はこの合宿英会話に不満があった。不満は主として二つあり一つは研修内容にある。このコースの売りの一つに質問訓練クエスチョン・トレーニングがあり、外国人講師の質問に肯定的に、または否定的に答える。この会話のやり取りが次第にダイナミックになっていき、最後は講師、訓練生が機関銃の相互乱射のように、すごいスピードでやり取りする…。訓練では初級者にもこのスピードを経験して頂いている。
・私の不満は訓練生の英語が、すべて 『受け身』 で答える事にあった。訓練生が 『積極的に』 質問をし、外国人講師が応答する逆質問訓練ができないか。生徒が英語でどんどん質問をし、外国人に答えてもらう。しかもその内容は高度で真剣で厚みのある会話でなくてはならない。…それを考えた。そんな研修が出来たら、英会話生には何よりの経験になろう。
【 言葉を戦わす習慣を失った 】
・これは明らかに無いものねだりであった。何故なら訓練生にそのような質問を期待できないからだ。日本語は他人と仲良くするにも喧嘩するにも何にでも使える性能の良い言語だが、人々は和を大切にするあまり、言葉を戦わす習慣を失った。この結果、会話とはどのようであるべきかを知り、その技術を持つ人が次第に少なくなった。人は話したい事があって日本語があり、英語がある。ところが気がついたら、人々は話したい事が、…少ないのだ。この事は重要な事かもしれない。…このように考えた。
・一方、英語に上達するには話したい事を持つ事だ。人が日本語において話したい事が少ないとしたら、どういう事を話題とすればいいか。どのように話を組み立て話を進めていけばよいか、不十分ながらそういうモデルを作るしかない。そういうモデルとは外国人を相手に主張する。激しくわたり合う。粘り強く交渉する。日本の食文化を興味深く説明する。そういう逆質問の脚本があればいい。そして擬似的な逆質問が、この脚本で指導できるのではないか。…私はそう考えた。なんと、英会話教育の前に日本語教育が必要になる…。
・夏から秋にかけて、私はそういう研修を6本執筆し、コースとして完成させた。10月のある朝、元本部の係長と外国人講師が羽田の航空会社のカウンターで名を名乗ったが、日付を間違え、全機満席。地方都市でのデモンストレーション・セミナーを中止させた…。世の中、ほんとに色々あります。「地獄…」にあきている人もいらっしゃるかと、一時離れます。(この項続く)
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